2018 Fiscal Year Annual Research Report
光合成電子伝達系「超複合体」の組み上げ機構:柔軟なアセンブリ様式とその意義に迫る
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17J09745
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 義宣 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 葉緑体 / 光合成電子伝達系 / 複合体 / アセンブリ過程 / 超複合体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、葉緑体NDH-PSI超複合体がチラコイド膜においてどのように組み上げられるのか、そしてその複雑な巨大構造は進化的にどのように獲得されたのか、明らかにすることを目的としている。本年は、ヒメツリガネゴケにおけるNDH-PSI超複合体の生化学的解析を続行し、NDH-PSI超複合体はLhca5による結合が先に存在し、Lhca6は比較的最近被子植物の共通祖先において獲得されたことを明らかにした。 Lhca6の獲得にあたって、その結合部位であるNDH-B部位にはどのような変化が起きたのか明らかにするため、被子植物とコケ植物において各サブユニットを比較した。コケ植物ではサブユニットPnsB2の保存性が低く、むしろ機能未知因子NDF5と高い類似性を示すことを見出した。ショ糖密度勾配超遠心による複合体分離によって、被子植物ではNDF5はB部位の組み上げを補助する因子であることを突き止めた。また、コケ植物はNDF5の機能を持つタンパク質を持っていることをシロイヌナズナ変異体の相補実験から明らかにした。さらに被子植物のゲノム情報を調べたところ、幾つかの種ではNDF5とPnsB2をコードする遺伝子が並んで存在することが明らかになった。これらの結果は、B部位サブユニットPnsB2は、その構造の組み上げを補助する因子NDF5がタンデムな遺伝子重複を起こし、そこから派生して獲得されたことを示している。以上より、組み上げ補助因子に由来するサブユニット獲得、そしてLhca6結合部位獲得によるNDH-PSI超複合体構造の獲得過程の両面から、光合成を支える電子伝達系複合体の複雑化を明らかにした。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)