2017 Fiscal Year Annual Research Report
複数の環境による酸素供給量の変化が活動筋の酸素動態に及ぼす影響
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17J09854
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
奥島 大 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 特別研究員(PD) (70735307)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 近赤外分光法 / 酸素供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、主に研究課題のまとめで用いる酸素供給と酸素消費の算出に必要な指標について検討するために自転車運動を行い、局所の血液量や酸素供給量の算出方法について我々の測定機器で用いることの可能な推定値と先行研究の値を比較検討した。健常成人8名を対象に2分の安静の後に4分間の一定負荷自転車運動(20 W/min)、および膝伸展運動(10 W/min)を行い、その後、漸増負荷自転車運動試験(20 W/min)を疲労困憊に至るまで実施した。この際、呼吸代謝装置を用いて肺酸素摂取量を、近赤外時間分解分光装置を用いて大腿四頭筋の内、外側広筋と大腿直筋の酸素化・脱酸素化応答を経時的に測定した。加えて、皮下脂肪厚について測定した。全ての測定項目は、一定負荷運動時の運動強度(0 %)から最大酸素摂取量算出時の運動強度(100 %)の範囲で正規化した。酸素化・脱酸素化応答については、皮下脂肪厚の厚さと総ヘモグロビン濃度が直線関係を有するため(Bowen et al. 2013)、回帰直線を算出した後に皮下脂肪厚0 mmの値に変換した。また、血液量や酸素供給量は先行研究を参考に算出した。その結果、近赤外分光装置で測定されるヘモグロビン濃度から実際の酸素供給量の推定が単純には行えないことを明らかにした。この理由として、我々が利用している近赤外線分光装置の測定指標が血液の流動する状態を反映できない可能性が考えられた。したがって、本研究課題において酸素供給量をより正確に推定するためには血液の移動を反映する指標について検討する必要があると考えられた。この点についてさらに検討を行うため、スペインのラスパルマス大学にて、近赤外分光装置の測定指標と静脈血のガス濃度や血流量との関連性について検討する共同研究に参画した。得られたデータは現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、予想していた方法による酸素供給量の推定が円滑に行えないことから、この原因を明らかにし、異なる方法で酸素供給量を推定する方法を確立する必要が生じた。そのため、本来の研究計画に加えて幾つかの検討課題を追加し、研究計画を修正したために遅れが生じていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、共同研究で実施したデータ解析を進め、血流の動態と近赤外分光装置から求められる指標との関連性を明確にする。また、異なる指標を用いて運動中の血流動態を推定する方法を模索する。同時に、当初予定していた様々な活動筋の酸素動態の変化を検討す研究についても進める予定である。
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Research Products
(9 results)