2018 Fiscal Year Annual Research Report
行為主体感生起を利用した人間機械協調システムの構築
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17J09892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 奈美 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 行為主体感 / 身体所有感 / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(1) バーチャルなアバタを複数のユーザで操る「融合身体」のインタフェースを提案した研究のIEEE TVCGへの投稿,(2)アバタの見た目の抽象化と身体化空間認知に関する研究のIEEE VR採択,(3) アバタの見た目の抽象化と視覚-固有感覚間統合に関する研究の予備検討,の3つが主な研究成果である. (1)では,二人のユーザの腕の動きの加重平均を取った融合身体に一人称視点から没入可能な「融合身体」のインタフェースを開発し,単純な運動を行う際の行為主体感を,動作の種類と動きの重みの観点から評価した.実験の結果,自分の動きが反映されない条件(加重0)でもユーザは見かけの身体運動から行為主体感を得られること,自由な動作に比べて目標位置や軌道が決まっている動作では行為を予測しやすく高い行為主体感を得やすいことを示した. (2)としては,アバタの身体部位の表示スケールを操作すると,知覚される物体のスケール知覚が変化して感じられることと,その効果はアバタが抽象化されることによって弱まるということを示した.研究成果がIEEE VR2019に採択され,口頭発表を行った.この研究によって,アバタの見た目というトップダウンの要素が知覚判断に影響することが示された.ここから着想を得て,(3)の検討を開始した. (3)について,ユーザの実際の身体運動を補正してバーチャルな身体を表示する様々な3DUIでのテクニックを想定し,1. 実際の動きと表示される動きにどの程度乖離があった場合にユーザが違いに気づくか,2. 乖離があった場合に,ユーザが自身の身体位置をどの程度視覚情報に引きずられて知覚しているかを,見た目の異なるアバタでそれぞれ検証した.どちらの測定についても,アバタが抽象化されるほど,ユーザは乖離に気づきやすくなるという結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,身体所有感・行為主体感の双方に着目しながら知覚や認知も含めた多角的評価を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究過程で,バーチャルアバタの見た目を変化させて身体所有感を積極的に生起させることで,自身の入力に対するシステムの補正による行為主体感が向上する傾向が示された.さらに,補正をシステムが行っているか,他のユーザが行っているかという事前の知識も行為主体感に影響する可能性も示された. そこで,本年度は引き続き行為主体感だけでなく身体所有感にも着目し,バーチャルアバタを用いた行為主体感生起手法の構築を行う.さらに,タスク評価だけでなく知覚や認知も含めて多角的評価を行うことで,パフォーマンスの向上のみならず,介入への不快感の減少を試みる.特に,ユーザが補正に自覚的であるかどうかと,補正がユーザにとって許容可能な範囲であるかどうかの違いについても検討し,システムの目的に応じた適切な指標を用いる.補正の程度を変えずに行為主体感を強化する手法としては背景知識やプライミングを,身体所有感を強化する手法としてはアバタの見た目を操作することで補正への受容度を高めることを検討する.
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Research Products
(3 results)