2017 Fiscal Year Annual Research Report
FPGAを用いた正確で高速なメニーコアエミュレーション
Project/Area Number |
17J09956
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
CHU THIEM VAN 東京工業大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | メニーコア / NoC / FPGA / エミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,FPGAを用いて大規模メニーコアプロセッサの挙動を,サイクルレベルという非常に高い精度でエミュレーションする高速システムを開発することを目的とする.平成29年度にその目的のための基盤を開発した. まず,FPGAのリソースの制限の問題を解決するために時分割処理手法の開発を行った.具体的には,メニーコアプロセッサのコア間通信のためのインターコネクションネットワークに着目し,時分割処理によってFPGAに現実的に実装可能なノード数で数百ノード以上のネットワーク全体をエミュレーションする手法を開発した.この手法を用てインターコネクションネットワークのエミュレーションシステムを実装した.そして,一般に使用されているソフトウェアシミュレータと同じ結果を提供することを確認した.提案手法は2次元メッシュとfat-treeの2つのネットワークトポロジをサポートする.今まで実際に構築されたネットワークのほとんどはこれらのトポロジから得られるため,広範囲のネットワークに拡張することが期待できる.この成果は平成29年12月に国際論文誌で発表した. 次に,FPGAエミュレーションシステムを用いて2次元メッシュネットワークトポロジのメニーコアプロセッサのための新しいルーティングアルゴリズムの設計と評価を行い,FPGAエミュレーションシステムの有用性を示した.この成果は平成29年9月に国際会議で発表した. 最後に,メニーコアプロセッサのフルシステムのエミュレーションに向けて,トレース駆動のエミュレーション手法を開発した.これを通じて,フルシステムのエミュレーションで必要となるFPGAオフチップメモリ(DRAM)のアクセスレイテンシを評価し,それを隠蔽するため手法を検討した.この成果を論文にまとめて国際会議に投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況については,おおむね順調に進展しているものと評価する. この研究課題では,FPGAを用いた正確で高速なメニーコアエミュレーションに取り組んでいるが,平成29年度にはこれまでに取り組んだメニーコアでのコア間通信のためのインターコネクションネットワークの高速エミュレーションに関する研究成果を国際論文誌ACM Transactions on Reconfigurable Technology and Systemsに投稿し,採録・掲載されている. また,開発したFPGAエミュレーションシステムの活用事例として,2次元メッシュネットワークトポロジのメニーコアプロセッサのための新しいルーティングアルゴリズムの設計と評価を行った.この成果は国際会議The 11th IEEE International Symposium on Embedded Multicore/Many-core Systems-on-Chipに投稿して発表した. さらに,メニーコアプロセッサのフルシステムのエミュレーションに向けて,FPGAオフチップメモリ(DRAM)を用いたトレース駆動のエミュレーション手法を開発した.この成果は国際会議に投稿中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,現在までの結果を踏まえて,メモリシステムと計算コアを含むメニーコアプロセッサのフルシステムのエミュレーション手法を開発する. 平成29年度に,トレース駆動のエミュレーションシステムで時分割処理中にデータを必要となる時刻までにオフチップDRAMからFPGAオンチップメモリに転送するスケジューラを開発した.しかし,メニーコアプロセッサのフルシステムをエミュレーションするには,今まで開発した時分割処理手法を再編成する必要があるため,そのスケジューラを改良する必要となる.具体的には,インターコネクションネットワークのみをエミュレーションする場合全てノードの全てステートデータはオンチップメモリに格納できるが,メニーコアプロセッサのフルシステムをエミュレーションする場合全コアのキャッシュやアーキテクチャステートを含むステートデータは非常に大きいため一部をオフチップDRAMに格納する必要がある.そのため,オフチップDRAMへの圧力が高くなる.DRAMのアクセスレイテンシが高いため,エミュレーション性能が大幅に落ちる可能性がある.この問題の解決には,ベンチマークプログラムを実行し,エミュレーション性能とDRAMのアクセス時間の関係を解析する必要がある.その解析結果を元に,DRAMのアクセス時間を隠蔽するためスケジューラを開発する. また,提案エミュレーションシステム全体のハードウェア規模,エミュレーション性能,スケーラビリティを定量的に評価し,その有用性を明らかにする.
|
Research Products
(2 results)