2018 Fiscal Year Annual Research Report
「市井の学」にみる趣味と研究の歴史社会学:近代日本におけるアカデミズムと逸脱者
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17J09983
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大尾 侑子 学習院大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 趣味人 / 研究 / 私家版 / カストリ雑誌 / 出版 / メディア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、斎藤夜居に関して調査し、「解題」としてまとめて出版物として刊行した(『カストリ雑誌考【完全版】』)。斎藤夜居は古書店主・蒐集家として知られる「市井の研究家」であり、本研究のテーマである「趣味と研究の歴史社会学」というテーマにおいて重要な位置を占める。これまで戦後の趣味的研究については山口昌男などが中心的に取り扱われてきた。一方で斎藤夜居が議論の中心に据えられたことはない。しかし戦前の地下出版人脈と直接的な関係にあるだけでなく、カストリ雑誌というメディアについてはじめて体系的に論じた趣味人であるという点で、斎藤夜居の実践は丹念にたどるべき価値があるといえる。 アカデミズムの外部で知識を蓄積していった趣味人に視野を広げることは、近代日本の知的底流を探る上で欠かせない。その点で本研究の意義はメディア史、歴史社会学の領域において主張しうるものである。このほか『書物関係リトルマガジン集 中京・京阪神古本屋編』(全七巻・別冊)内容見本(金沢文圃閣)に推薦文を掲載し、これまで古書市場に埋もれていた史料を学術的に価値づけることも行なってきた。以上が研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度に査読論文を出す予定でいたが、達成できなかったため当初の予定よりも「やや遅れている」という自己評価となった。公表できなかった成果物については来年度に査読論文としてまとめ上げることで遅れた分の業績補填としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き現在手元にあるデータをもとに、論文化を行うこととする。なお進捗に応じて学会発表を行うことで、多くの研究者からの批判を得たいと考えている。
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Research Products
(7 results)