2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J10069
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原口 敦嗣 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 時間栄養学 / うつ症状 / 食餌リズム / 末梢時計 / 海馬 / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
夕食後から入眠までの間に食事を摂取する「夜食症候群」の患者は、通常のうつ患者とは違い夕方から夜にかけてうつ症状を示すことが知られている。申請者は乱れた食事タイミングがうつ症状発症の原因になるのではないかと考え、後述する給餌条件を用いて仮説の検証と発症メカニズムの解明を行うことを本研究の目的とした。本研究では、通常食を自由摂食させつつ、高脂肪食を明期(マウスにとっての非活動期)の真ん中に5分間給餌する条件下で飼育されたマウスを食事タイミングの乱れたマウスとし、通常食を自由摂食させる群を対照群として実験を行った。本研究により、このモデル群が夜食症候群の患者の食事リズムを模した摂食リズムを示すことと、夜食症候群の患者と同様に時刻特異的なうつ症状を示すことが確認された。時刻特異的なうつ症状の発症原因を調べるために、末梢臓器の概日リズム(実験1)と海馬におけるモノアミン量(実験2)に着目した。実験1では、時計遺伝子の一つであるPer2と発光レポーター遺伝子の複合タンパクが生成できるPER2::LUC mouseとインビボ・イメージング装置を用いて、末梢臓器(腎臓・肝臓・顎下腺)の概日リズムを測定する系を用いた。その結果、モデル群の末梢臓器のPER2発現ピーク時刻が対照群と比較して早くなっていることが分かった。実験2では、うつ症状が確認された時刻の海馬におけるモノアミン量の測定を行った。その結果、対照群と比較してモデル群のセロトニンの代謝率が高くなっていることと、ストレス負荷時にセロトニンの存在量が増加して代謝率が低下することが分かった。以上の実験結果から、乱れた食事タイミングが時刻特異的うつ様行動を引き起こすことが分かった。また、末梢時計の位相変動を引き起こすほどのカロリー量を非活動期に摂取することと、海馬におけるセロトニンのストレス応答性が変化することが原因として示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた4時間おきの強制水泳試験を行い、明期開始時でのみうつ様行動が確認された。またサンプリングは4時間おきではなく12時間おきの2ポイントとなったが、海馬のサンプルを採取してHPLCによりセロトニンの代謝率が高くなっていることと、ストレス負荷によってセロトニン量が増大し、代謝率が低下していることが分かった。これらの結果をまとめたものは、Scientific Reportsにアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に行った実験により、乱れた食事リズムによって時刻特異的なうつ症状が引き起こされる原因として、中枢時計と違い末梢時計が乱れた食事リズムの影響を受けてしまうことと、海馬におけるセロトニンのストレス反応性が変化してしまうことが挙げられた。しかし、これら2つの関連については調べきれていないので、平成30年度は中枢時計が存在する視交叉上核(SCN)を破壊してモデル群の給餌条件で飼育したマウスを用いて強制水泳試験の実施や海馬におけるモノアミン量の測定、PER2::LUC mouseを用いてex vivoによる海馬における時計遺伝子発現リズムの観察などを行う。これらの実験により、より詳細に時刻特異的なうつ症状発症のメカニズムの解明に繋がると考えられる。
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Research Products
(6 results)