2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J10124
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大木 暁登 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ジアリールアミン / 水素化分解 / ニッケル / 炭素ー窒素結合活性化 / ヒドロシラン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究実施計画に基づき、フェノール類のCーO結合およびアニリン類のCーN結合直接官能基化反応の開発を中心に研究を進めた。そのうち、アニリン類のCーN結合直接官能基化反応である、ニッケル触媒を用いたヒドロシランによるジアリールアミンの水素化分解反応について成果が得られた。 アニリン類は入手容易かつ安価であるため、合成中間体として有用である。しかしながら、アニリン類のCーN結合は熱力学的および速度論的に安定であるため、アニリン類のCーN結合を直接切断し官能基化する反応は容易ではなく、実際にそのような反応例はあまり多くはない。このような背景の下、アニリン類のCーN結合を直接官能基化する反応の開発を目指して、アニリン類と種々の求核剤とのクロスカップリング反応を、様々な金属触媒と配位子の組み合わせを用いて検討した。その結果、ジアリールアミンのヒドロシランによる水素化分解反応が、ニッケル触媒存在下に進行することを見つけた。この反応においては、配位子の選択が非常に重要であり、電子供与性の高いN-ヘテロ環状カルベン配位子を用いた時にのみ反応が進行する。本反応は、2つの単環の芳香環からなるジアリールアミンを用いても良好に進行し、特に、電子不足な芳香環と電子豊富な芳香環からなるジアリールアミンを用いた際には、電子不足な芳香環側のCーN結合のみが選択的に反応することを見出した。また、反応後に酸で処理をすることで、CーN結合が反応しなかった芳香環側から生じるアニリンが、生成物であるアレーンと同等の収率で得られることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書に記載したフェノール類のCーO結合およびアニリン類のCーN結合直接官能基化反応の開発のうち、アニリン類のCーN結合変換反応としては、ニッケル触媒を用いたジアリールアミンのヒドロシランによる水素化分解反応を見出している。本反応において、反応条件の最適化や基質適用範囲の検討などを既に終えており、反応機構研究を残すのみである。一方で、フェノール類のCーO結合直接変換反応については、その実現を目指してクロスカップリング反応を様々な金属触媒と配位子の組み合わせを用いて検討したが、目的とする反応は全く進行しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ニッケル触媒を用いたジアリールアミンのヒドロシランによる水素化分解反応についての研究を引き続き行い、これを完成させる。その後、フェノール類のCーO結合およびアニリン類のCーN結合直接官能基化反応として、クロスカップリング反応を目指した検討を続ける。フェノール類およびアニリン類を直接用いることが難しい場合には、それらから容易に調整が可能なフェノール誘導体およびアニリン誘導体を用いた検討も進めていく。
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Research Products
(4 results)