2017 Fiscal Year Annual Research Report
A New Model of Magnetic Turbulence and Dust Growth Including Electron Heating in Protoplanetary Disks
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17J10129
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 昇志 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 惑星形成 / 磁気流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の目覚ましい望遠鏡の発展により、原始惑星系円盤の詳細な姿が明らかになってきた。その中でも驚くべき発見は、従来理論の予想よりも非常に弱い乱流の円盤の発見である。本研究の目的は、原始惑星系円盤の電離状態と磁気流体力学に基づき、最新の原始惑星系円盤の観測結果を満たすような円盤進化モデルを構築することである。特に、強電場中の電子の加熱(電子加熱)によって磁気回転不安定が抑制される効果に注目する。 今年度は、電子加熱の効果を考慮した磁気流体力学計算の結果をまとめ、The Astrophysical Journalに投稿し掲載された。この論文で、電子加熱が磁気回転不安定に与える影響を詳細に調べ、電子加熱が存在する円盤における乱流強度を数値実験と解析計算から経験公式を導出した。この経験公式を使うことで、電子加熱によって磁気乱流が抑制されている原始惑星系円盤において、様々な円盤の物理状態での乱流強度を見積もることが可能となった。 さらに、その乱流強度の公式を用いて、様々な円盤の降着率における乱流強度分布を求めた。その結果、原始惑星系円盤の初期段階では、円盤の広い領域で電子加熱によって乱流が抑制されうることが分かった。この描像は、原始惑星系円盤の初期段階では乱流が抑えられ、後期段階ではある程度乱流強度の高い円盤になるという当初の想定していたシナリオと整合的である。 また上記の原始惑星系円盤の乱流強度の研究に加え、乱流が十分に抑制されている原始惑星系円盤における温度構造の研究も並行して行った。本研究の結果、乱流のない円盤では、円盤の温度構造は従来予想されていた温度構造より低くなることが分かった。このことは、円盤観測の結果の解釈に対して重要なだけでなく、内側の岩石惑星の形成に深く関係する。この成果は、国内学会で発表しており、現在論文にまとめている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、電子加熱を考慮した乱流強度の経験公式を用いて、原始惑星系円盤の乱流分布モデルを構築した。得られた乱流分布モデルからは、ダストが多い円盤であれば、観測で示されている原始惑星系円盤の遠方領域における弱い乱流が再現できる可能性を示唆している。円盤の乱流強度に関する研究はやや遅れている。 一方で、原始惑星系円盤の降着加熱に関する研究が新たに始まっている。原始惑星系円盤の温度構造は、原始惑星系円盤の観測と比較する上でも非常に重要な物理量である。従来、特に原始惑星系円盤の内側の温度構造は、ガスが中心星方向に降着する時に発生する重力ポテンシャルの解放によって決まっていると考えられていた。しかし、原始惑星系円盤を貫く磁場による降着が支配的な場合、降着時に生じたエネルギーは円盤の表面で散逸し、加熱が非効率となることが分かった。この研究は現在論文準備中である。この研究は進捗は想像以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られた原始惑星系円盤の乱流の分布モデルを使用して、本研究の乱流強度の理論モデルと原始惑星系円盤の観測から得られた乱流強度を比較する。そして、観測された円盤を説明しうる条件が存在するかどうか、存在するのであればどういう条件かを調べる。さらに温度構造に関しては、磁場の大局的構造を考慮した降着加熱の効率を調べてゆく。
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Research Products
(7 results)