2017 Fiscal Year Annual Research Report
心臓微小管のdynamic instability制御機構の解明
Project/Area Number |
17J10145
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢白木 翔平 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | AMPK / 心臓 / メカノシグナル / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋細胞におけるAMPKのメカノシグナルへの関与の検証 心臓におけるAMPK活性は代謝系とは独立に高く維持されており、これまで知られているエネルギー枯渇状態での活性化とは異なる制御が想定された。心筋細胞は心臓自体の拍動というメカノストレスを常時受けていること、AMPKが局在する介在板は心臓でのメカノセンシングの場であることから、心臓でのAMPK活性がメカノストレスにより制御されているという仮説を立てた。この仮説を検証するため、拍動阻害剤により拍動を抑制した心筋細胞において、AMPK活性の指標であるリン酸化AMPKを免疫染色法により観察した。拍動阻害剤処理により心筋細胞ではリン酸化AMPKの減少が認められた。薬剤のWash outにより心筋細胞の拍動は再開し、リン酸化AMPKの介在板への局在が復活した。これらの結果から、介在板でのAMPK活性は心筋拍動によるメカノストレスによって制御されている可能性が示唆された。 次に、メカノストレスのAMPK活性への影響をさらに検討するため、シリコンチャンバーに播種した心筋細胞に伸展刺激装置を用いて外部から人工的にメカノストレスを加える実験系を新たに構築した。 AMPK-CLIPシグナルの病態生理学的意義の解明 これまでの研究で作製したAMPKによるリン酸化を受けないCLIP S311A mutant心臓特異的強制発現TGマウスを用いて、心毒性を持つドキソルビシンの投与による病態モデルを作製した。ドキソルビシンを投与したCLIP S311A mutantマウスでは、Controlに比べてさらなる心機能の悪化がみられた。さらに、ドキソルビシンを投与したCLIP S311A mutantマウスでは、心機能の低下だけでなく、線維化を伴う組織変性も認め、微小管のdynamic instability制御障害が心不全発症機序の一因となる可能性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AMPKがメカノシグナルの機能分子である可能性を示し、更なる検証を進めている。また、トランスジェニックマウスを用いた解析により微小管のdynamic instability制御障害が心不全発症機序の一因となる可能性を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
生細胞内の特定の細胞小器官 (細胞膜やミトコンドリアなど) でのAMPKの活性をライブで可視化し定量評価することができるFRETベースのAMPK活性バイオセンサーorganelle-specific ABKARを心筋細胞に発現させるためのアデノウイルスを作製した。現在、作製したABKARでAMPK活性を正確に測定できるかを検証している。今後は、伸展刺激装置とABKARを用いて、伸展刺激による心筋細胞でのAMPK活性の変化をライブで定量評価していく予定である。
|
Research Products
(2 results)