2018 Fiscal Year Annual Research Report
深層学習を用いた弱教師あり学習による画像に対する物体位置推定
Project/Area Number |
17J10261
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
下田 和 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 領域分割 / 深層学習 / 弱教師あり学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年に発表されたPSAという弱教師あり領域分割手法がある。PSAはCRFを適用した領域分割結果における領域の類似度を学習し、この領域の類似度を使うことで領域分割の結果を改善するという新しい概念を取り入れた弱教師あり領域分割手法であり、大きな精度向上をもたらしている。本年度の研究においては更なる精度向上を目指すためにこの手法を活用することを考えPSAが学習時に用いているCRFの問題点に着眼した手法を考案した。この研究においては、CRF適用前とCRF 適用後の領域分割結果を入力として, これらの二つの領域分割結果からできるだけ多くの正解領域を得るという新しいタスクを設定した。これを達成するために,提案手法においては自己教師学習による変化領域の推論を行っている。自己教師学習とは、人手によるアノテーションを必要としない教師情報を用いて学習を行う手法である。二つの推測結果の差分は簡単な処理で得ることが可能であり、教師情報を必要としないのでこの変化領域の推論は自己教師学習の一つであると考えることができる。 提案手法では自己教師あり学習による変化領域の推論が学習サンプルの外れ値をよく発見できることを確認し, この推論結果を入力マスクのラベルの確信度として活用し、領域補正を行うことが可能であることを示した。また、本研究ではこの手法を用いて学習中の教師情報におけるノイズを推定し, 正しいラベルに上書きをするという難しい課題についても取り組んだ。昨年度の手法においては画像レベルで誤りを多く含んでいる教師情報の推定を試みていたが、本手法では誤りの推定を領域レベルで行い、さらにこれを新しい教師情報に置き換えることができた。これにより、本手法はPascal VOC 2012 データセットの弱教師あり領域分割手法において65.3%を達成した。これは現在の弱教師あり領域分割における最高精度である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深層学習における領域分割の教師情報のコスト削減のために、「深層学習を用いた弱教師あり学習による画像に対する物体位置推定」についての研究を昨年度に引き続き今年度も行った。昨年度においては、教師情報に含まれる誤りに着目し、誤りを多く含む画像を推定しこれを学習には使わないことで精度向上を目指した。しかしながら、元のよい精度の領域分割結果の数が十分でなく、ノイズ除去をした結果による学習は予想以上の精度向上には繋がらなかった。 本年度の研究においては、自己教師学習による変化領域の推論を行い、変化領域の推論が学習サンプルの外れ値をよく発見できることを確認した。また、この推論結果を入力マスクのラベルの確信度として活用し、領域補正を行うことが可能であることを示した。本研究ではこの手法を用いて学習中の教師情報におけるノイズを推定し, 正しいラベルに上書きをするという難しい課題についても取り組んでいる。昨年度の手法においては画像レベルで誤りを多く含んでいる教師情報の推定を試みていたのに対し、本手法では誤りの推定を領域レベルで行い、さらにこれを新しい教師情報に置き換えることができた。これにより、本手法はPascal VOC 2012 データセットの弱教師あり領域分割手法において65.3%を達成した。これは現在の弱教師あり領域分割における最高精度である。解決する問題の方向性を変更することで、精度を向上させることができた。前年度と比較して大きな精度の向上であり、おおむね順調に進呈しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度における提案手法においては自己教師学習による変化領域の推論を行い、Pascal VOC 2012 データセットの弱教師あり領域分割手法において65.3%を達成した。この手法をさらに拡張するために、今後の研究として階層的なノイズ除去手法を考えている。変化領域の推定を用いた弱教師あり領域分割手法においては領域レベルで教師情報の誤り情報を推定し、これを正しいものに上書きするという課題に取り組み、よい結果を得ることができたが、誤りの全てを推定することはできていない。そこで、現在はこの手法を再帰的に適用することで、より精度の高い誤り領域の推定が可能となるのではないかと考えている。また、自己教師あり学習による変化領域の推論は学習サンプルのノイズを推定する手法として役に立ったがこの知見は弱教師あり領域分割にも適用可能な可能性がある。具体的には、クラス分類や物体検出など一般的な課題においても学習サンプルにノイズが含まれている場合、本手法によりこれを発見することができる可能性がある。
|