2018 Fiscal Year Annual Research Report
The roles of the Nrf2/Keap1 axis in age-related retinal degeneration
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17J10301
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 祐一 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | Nrf2 / p62 / オートファジー / ファゴサイトーシス / 網膜色素上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素上皮は恒常的に視細胞外節を貪食・消化することで視機能の維持に重要な役割を果たしている。この網膜色素上皮に慢性的な酸化ストレスがかかることが、難治性網膜疾患である萎縮型加齢黄斑変性症の病態形成を引き起こすと考えられているが、未だ有効な治療薬は開発されていない。そこでわれわれは酸化ストレスに応答し、生体内で多様な異物代謝関連因子を誘導する転写因子であるNF-E2-related factor 2 (Nrf2) に着目し、その活性化薬が視細胞貪食を促進することを明らかにした。 本年度は、強いNrf2活性化作用を有する親電子性Nrf2活性化剤RS9を用いて、①RS9がオートファジーレセプターであるp62の誘導を介したオートファジー活性化により網膜色素上皮細胞の視細胞貪食を活性化すること、②RS9以外の古典的親電子性Nrf2活性化薬 (ジメチルマレイン酸: DEM) においても同様の作用が認められることを明らかにした。これらのことはNrf2の網膜色素上皮機能維持作用を示すだけでなく、萎縮型加齢黄斑変性症の治療標的として、Nrf2がもつ有用性を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はNrf2とp62の関与について、Nrf2活性化薬による網膜色素上皮細胞の視細胞貪食促進作用にp62の発現誘導が必要であることを明らかにした。Nrf2の活性化によりp62が誘導されることはよく知られているが、p62の誘導によるオートファジー活性化及び視細胞貪食の活性化が起こることは今まで知られていなかった。 また、同時に親電子性Nrf2活性化薬RS9がAMPKαの活性化を誘導し、これによっても視細胞貪食促進作用が引き起こされていることを示すデータを得た。このAMPKαの活性化はNrf2の活性化によらない作用であることが示唆されており、Nrf2活性化薬を治療に応用する上で本作用を理解することは非常に大きな意義があると考えられる。このように本年度は、Nrf2活性化薬の作用機序について多くの新たな知見を得ることができたが、動物モデルを用いたin vivoの検討では現状薬物作用の定量的評価が行えていないため、次年度はこちらについてもさらなる検討を進めていくことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウス及びゼブラフィッシュを用いて、Nrf2活性化薬の投与による視細胞貪食活性化作用をin vivoレベルでも確認し、またその作用機序について、in vitro培養細胞での検討と同じ機序が生体でも起きていることを詳細に検討する。 また、親電子性Nrf2活性化薬のAMPKα活性化作用について、その作用機序、構造活性相関についても詳細な検討を行い、今後の治療薬創出の基盤となるデータを得ることを予定している。
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