2017 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性スイッチングよる記憶・高速書換が可能な反射型カラー表示液晶デバイスの開発
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17J10492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
德永 翔一 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | コレステリック液晶 / 反射色 / 構造色 / 電気化学反応 / キラルドーパント / ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化還元応答性キラルドーパントを用いたコレステリック液晶の反射色制御 過去研究者が報告した論文(S. Tokunaga et al., Adv. Mater. 2016, 28, 4077.)の中で、キラルドーパントがイオン性を有する時、らせん誘起力が低下するという新たな知見を発見した。この知見を元にこれまで、液晶中での酸化還元状態によって、らせん誘起力を変調可能な世界で初めての『酸化還元応答性キラルドーパント』の開発に成功している。このキラルドーパントは可逆な酸化還元活性を有することをサイクリックボルタンメトリーにて確認した。このキラルドーパントは、酸化時はイオン性、還元時は非イオン性に変化し、それぞれの状態でのらせん誘起力は異なることを発見し、化学酸化剤の添加にて反射色の変調を達成した。 このキラルドーパントと支持電解質を液晶中に混合したコレステリック液晶サンプルを、電荷の保証剤が塗布された透明電極セルに注入し電圧印加を行うことで、1.5 Vという低電圧にて可視領域の反射色の変調に成功した。またこの液晶材料は繰り返し変調可能であり、反射色の変調速度は、他のコレステリック液晶材料と比較しても世界最速であることが明らかとなった。 また、この液晶材料の反射色変化が、『酸化還元応答性キラルドーパント』の電気化学反応であることをX線光電子分光などを用いて確認している。 これらの研究成果は、特許申請(特願2018-38836)を行い、現在論文の投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者自身が開拓した、『酸化還元応答性キラルドーパント』について、研究戦略の実証に成功した。本研究成果は、特許申請(特願2018-38836)を行い、学術論文の投稿準備中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究にて、世界ではじめての「酸化還元応答性キラルドーパント」の開発に成功し、このキラルドーパントを用いて、実践的な反射型ディスプレイデバイスの開発に着手する。 具体的には、ホスト液晶分子を変更し、幅広い温度領域で均一な反射色の変調を行う、また電極基板材料を検討し、フレキシブルディスプレイの作成を行うなど。
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