2019 Fiscal Year Annual Research Report
高次摂動論を用いた宇宙の大規模構造の起源と進化の多角的検証
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17J10553
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嵯峨 承平 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 観測的宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / ダークマター |
Outline of Annual Research Achievements |
観測される銀河分布が見かけ上観測者の視線方向に対して非等方になる,赤方偏移空間ゆがみと呼ばれる効果は,近年,宇宙論的スケールでの一般相対論のテストで注目されている.ただし,分光観測で測定される銀河の赤方偏移は,ドップラー効果以外に,重力赤方偏移などといった相対論的効果も一般的に含みうる.将来の高精度観測でそうした効果による銀河分布の非等方性を検出できれば,重力理論の新しい検証が切り拓ける可能性がある. われわれは,国外の共同研究者による宇宙論的N体シミュレーションを用いて小さなスケールの非線形領域までの相対論的赤方偏移の効果を取り入れた検証を行った.これによって,線形理論を越えた領域で相対論的赤方偏移の効果についての知見を得ることが可能となった. 興味深いことに,シミュレーションに基づく結果は,線形理論を越えた領域では相対論的効果が重要な寄与をすることを明らかにした.すなわち,相対論的効果による観測的な非等方性の,特に線形領域を越えた取り扱いが,将来観測から宇宙論的な情報を引き出す上で,重要な課題であることを明らかにした. 以上の先行研究のもとで,われわれはシミュレーションを説明することができる相対論的赤方偏移効果のモデル構築に取り組んだ. 具体的には,ラグランジュ的描像に基づくラングランジュ的摂動論を利用することによって,われわれは,相対論的効果を取り入れた準線形理論モデルを構築することに成功した.この準線形理論モデルはN体シミュレーションで測定された赤方偏移空間の非等方性をうまく説明することに成功した. このモデルによって,将来的には大規模構造の観測から新しい相対論的効果のシグナルを適切に取り出すことを可能とし,相対論のテストや暗黒エネルギーの性質の検証に利用されると期待している.
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)