2017 Fiscal Year Annual Research Report
異方形状を有する半導体ナノ結晶の表面設計に基づく自己組織化制御
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17J10593
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
谷口 祐基 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 両親媒化 / 自己組織化 / 表面・界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属・半導体ナノ粒子はナノサイズ特有の物性を示す。さらに、ナノ粒子が集合した自己組織構造体はキャリア輸送特性やエネルギー移動特性、電荷分離特性など、ナノ粒子単体では得られない集積構造特有の共同的な特性の発現が期待される。本研究課題では、ウルツ構造を有する異方性半導体ナノ粒子を両親媒化することにより、水中において疎水性効果を駆動力とし自己組織化する新規アプローチ手法を用いて、世界初のナノ粒子自己集合構造体の構築を目指した。 半導体CdSeテトラポッド、CdSe/CdSオクタポッドを合成し、表面配位子を水溶性のチオールと交換することにより、両親媒構造を導入した。さらに、本研究の手法と、溶媒の蒸発により集積する移流集積法を組み合わせた新規プロセスを用いて、疎水性効果を主な駆動力とする頂点間の規則的な結合により、ネットワーク構造を有する二次元的なナノ粒子膜の形成に成功した。また、本研究手法をCdSeナノロッドとCdSテトラポッドの適応することで、分岐点を有する三次元ヘテロワイヤの構築に成功した。得られた構造体をEDXにより元素マッピングすることにより、ヘテロ結合状態を確認した。以上の結果は、無機ナノ粒子をまるで分子のように用い、複雑な幾何構造を有するナノ粒子集積体を構築するという新たな研究領域を拡張する成果となった。 また、シンガポール国立大学Chan Yin Thai研究室での滞在で、マッチ状のCdSe/CdSコアシェルナノロッドの合成技術の習得に加え、本研究独自の自己組織化手法とは異なる、精密無機合成技術を駆使し、共有結合的にナノ粒子を連結する手法を習得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの計画に沿って研究を推進し、すでにウルツ構造を有するナノロッド型、テトラポッド型、オクタポッド型の異方性ナノ粒子の合成に成功し、これらのナノ粒子を両親媒化することにより、機能制御を目的としたヘテロ構造を有する高次元構造体や、二次の規則的な構造体の構築に成功している。その成果は、Europhys. Lett. 2017. 118,68001やACS Nano. 2017,11,9312-9320に採択されている。 さらに本研究の自己組織化手法に加え、シンガポール国立大学Chan Yin Thai研究室との共同研究により、発光波長の異なるコアシェルナノロッド同士を高効率で結合させる新規自己組織化プロセスの開発が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の自己組織化プロセスで作製した一次元ナノ粒子集積構造体、ヘテロ積層構造を有する三次元構造体について、低次元に特有のキャリア閉じ込めとネットワークを介したキャリア輸送に加えて、大きな比表面積による高効率電荷分離や熱拡散抑制効果が期待され、高効率エネルギー変換が期待されるため、光電変換材料及び熱電変換材料としての評価を行う。また、シンガポール国立大学Chan Yin Thai研究室との国際共同研究課題を引き続き遂行する。
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Research Products
(4 results)