2017 Fiscal Year Annual Research Report
リーリン切断酵素を標的とした、精神神経疾患の新規治療法の確立
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17J10967
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
荻野 ひまり 名古屋市立大学, 名古屋市立大学大学院 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | リーリン / 脳 / プロテアーゼ / 精神神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の形成と機能を司る分泌タンパク質リーリンの機能低下は、統合失調症やアルツハイマー病を含む精神神経疾患の発症や増悪に関与する。リーリンは特異的な切断により不活化されるが、リーリンの切断阻害が精神神経疾患の病態に与える影響は未解明である。 昨年度までに、リーリンはADAMTS-3によって特異的に切断され、不活化されることを見出した。しかし、ADAMTS-3欠損マウスの表現型がリーリン以外の基質を介している可能性や、リーリン切断阻害が精神神経疾患の病態を改善できるのか等の課題や疑問が生じた。本研究では、リーリンの特異的切断による不活化について、生理的意義の解明、及び、切断阻害によるリーリン機能増強効果の検証を目的とする。 これまでのADAMTS-3欠損マウスの解析結果がリーリン機能依存的かを検証するため、リーリンの切断部位に変異を導入した非切断型リーリンノックインマウスを作製した。このマウスにおいても、リーリンの切断が抑制され、その機能が増強することを見出した。また、ADAMTS-3欠損マウスと非切断型リーリンノックインマウスの大脳皮質を用いて遺伝子発現解析を行ったところ、これまでにリーリンとの関連性がほとんど報告されていない遺伝子の発現が変化することを見出した。 また、リーリン切断抑制がアルツハイマー病態を改善するか否かを調べるため、アルツハイマー病態型モデルマウスとADAMTS-3欠損マウス、及び、非切断型リーリンノックインマウスを交配させ、次年度以降の解析に供するマウスを準備した。加えて、ADAMTS-3阻害化合物を、マウス大脳皮質の初代培養神経細胞に添加したところ、リーリンの切断が抑制されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスの作製、準備が概ね計画通りに進展しており、プロテアーゼの欠損マウス、非切断型リーリンノックインマウス、ADAMTS-3阻害化合物を用いて多角的な研究を行うことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、リーリン機能増強マウスで発現が変化していた遺伝子について詳細な解析を進め、リーリン切断の生理的意義の解明を目指す。また、リーリン切断抑制がアルツハイマー病態に及ぼす影響を解析し、リーリン切断抑制の病態への効果を検証する。
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