2017 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期におけるフルクトース過剰摂取が仔の海馬に及ぼす影響
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17J10969
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山崎 未来 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | DOHaD / フルクトース / 認知機能 / 神経新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
フルクトースは清涼飲料水などに利用され、誰しもが日常的に摂取する天然甘味料である。近年のフルクトース摂取量の爆発的な増加に伴い、妊婦のフルクトース摂取量も増加の一途をたどっている。妊婦の栄養状態は児の海馬機能に大きく影響するため、フルクトース過剰摂取による影響が懸念される。しかし、妊娠母体のフルクトース摂取がどのように児の海馬機能に影響するかは不明な点が多い。そこで本研究ではフルクトースを過剰摂取した妊娠母獣から生まれた仔を用いて海馬表現型への影響を評価することを目的とした。 平成29年度は、妊娠0日目からフルクトース水を摂取した母獣から生まれてきた仔を用いて以下の実験を行った。新生児にBrdUを投与し、海馬で新生されるニューロン数を計測したところ、母獣のフルクトース摂取によって神経新生が減少することが明らかとなった。海馬の神経新生は学習による記憶獲得に重要であるため、成熟仔を対象に海馬に依存した記憶を評価する行動学的試験(新規物体認識試験と恐怖条件づけ試験)を用いて記憶獲得を解析した。フルクトース過剰摂取母獣からうまれた仔は両試験とも低成績を示し、海馬神経新生の減少と一致した結果が得られた。以上より、妊娠期に母獣ラットがフルクトースを多く摂取すると仔の海馬機能が低下することが示唆された。現在、この分子メカニズムを明らかとするために海馬神経新生や認知機能に重要なタンパク(BDNFなど)に着目して解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、フルクトースを過剰に摂取した母獣から生まれてきた仔の海馬表現型のデータが得られた。海馬組織の遺伝子発現解析やタンパク質解析も順次進んでおり、実験計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠期におけるフルクトース過剰摂取が仔の海馬表現型に悪影響を及ぼす分子メカニズムを明らかとするために、海馬組織における遺伝子発現やタンパクを解析する。さらに遺伝子発現のエピジェネティック制御にも焦点をあて、DNAメチル化変化の解析をする。
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Research Products
(1 results)