2018 Fiscal Year Annual Research Report
湿式法による多機能表面修飾剤を用いた粉体材料のマルチスケール構造制御
Project/Area Number |
17J11031
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
森田 聖太郎 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 表面修飾 / スラリー / 光造形 / マルチスケール構造制御 / 粒子複合化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、セラミックス材料の製造工程において、複数種の微粒子の集合構造(ミクロ領域)、粒子の充填構造(メゾ領域)、成形体の形状(マクロ領域)のマルチスケール領域で構造制御できる湿式プロセスの開発を目的としている。この目的達成に向けて本年度は、昨年度に開発した低樹脂使用量のアルミナスラリーをレーザー走査方式の光造形によりセラミック成形技術へ拡張できるかを検討した。また、新規な反応性分散剤を用いる複数種の微粒子の集合構造制御(ミクロ領域の構造制御)に達成できる技術構築を試みた。 レーザー走査方式の光造形では、レーザー波長やスラリー組成の検討を行った。その結果、405nmレーザーを使用し、スラリーへ高分子バインダーを添加することで、造形精度が高く、クラックのない造形物が得られることが分かった。樹脂使用量の低減や光造形は、多品種・小数セラミック部品の製造に極めて有効な技術であるが、これまで低樹脂使用量のスラリーを使用した光造形に関する報告例はなく、学術的新規性の高い成果を得ることができた。 多成分系のミクロ領域の構造制御については、シリカ大粒子にシリカ小粒子を固定化した複合粒子を調製する技術を検討した。ポリアクリル酸(PAA)にオレイルアミン(OAm)を結合させた会合体(PAA-OAm)を新規な表面修飾剤として設計した上で、PAA-OAmを修飾したシリカ大粒子とPEI-OAを修飾したシリカ小粒子をトルエン溶媒中で混合したところ、これらの粒子が複合化することが分かった。非水溶媒中での粒子複合化は材料設計や用途の幅を拡張できる極めて重要な技術であるが、これまでの関連技術では表面設計に高度な有機合成技術を必要としていた。本技術は簡便な混合プロセスのみで実現可能であり、工業生産性の向上に寄与し得る成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に開発した低樹脂使用量のアルミナスラリーをレーザー走査方式によるセラミック成形技術へ拡張できることを明らかにした。また、複数サイズの微粒子を用いた多成分系において、新規な反応性分散剤を設計・利用することで粒子の集合構造制御(ミクロ領域を構造制御)を実現できることを明らかにした。このように研究は当初の計画通り進捗しており、次年度に予定している複合粒子の高濃度分散(メゾ領域の構造制御)や成形技術(マクロ領域の構造制御)への応用に関わる予備試験も既に着手し始めている。以上に示すように、本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では2種の多機能表面修飾剤によって調製された複合粒子について、各粒子の表面修飾剤の化学構造を変化させることで複合粒子の高濃度スラリーの調製(メゾ領域の構造制御)を試みる。また、これまでに構築した架橋剤を利用した成形技術を応用することで形状付与(マクロ領域の構造制御)を実現する。 また、これまで吸着性、分散性、固化機能を多機能表面修飾剤に付与してきたが、光応答性の異性化を示す分子を表面修飾剤に導入することで、光応答性の可逆的な分散/凝集機能を組み込み、新規なマクロ構造制御技術を提案する。
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