2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァイマル期における教育アカデミーの研究-新教育運動との関係について-
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17J11196
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 利紀 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | プロイセン教育アカデミー学生会議 / 学生会 / 学外実習改革 / キール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度行った研究は次の三つである。 一つ目は、各地の教育アカデミー学生会が、年に1回実施していた学生会議に焦点を当てて、学生自身が教育アカデミーをどのように捉えていたのかを検討したことである。その成果として、9月1日に宮城教育大学で開かれた日本教育学会第77回大会において自由研究発表を行った。この報告において、フランクフルト・マインとキールの学生会を概観した上で、学生会議が教育アカデミーの根幹に関わる内容について学生が積極的に意見を表明する場であったことを明らかにした。 二つ目は、キール教育アカデミーの学外実習改革に焦点を当てて、教員養成所と総合大学とは異なる教育アカデミーの理念がカリキュラム改革を通じて、どのように具体化されていたのかを検討したことである。昨年度の教育史学会第61回大会での発表を踏まえて、昨年度収集した史料を新たに加えて、論文をまとめ、教育史学会紀要『日本の教育史学』第62集に投稿を行った。本論文については、採択が決定している。 三つ目は、次年度の研究課題に関連する史料の包括的な調査・収集である。そのために、2019年2月10日から3月4日にかけて、ベルリン、ポツダム、ヴォルフェンビュッテル、デュイスブルク、フランクフルト・マイン、ヴィースバーデンにある文書館、研究所、図書館を訪問した。具体的には、プロイセン文化財枢密文書館、ベルリン州立図書館、教育史研究図書館、ブランデンブルク州立中央文書館、ニーダーザクセン州立文書館、ノルトライン・ヴェストファーレン州立文書館、フランクフルト市都市史研究所、ドイツ国立図書館、ヘッセン州立中央文書館などで、教育アカデミーならびに教員養成大学に関わる公文書、私文書、新聞、雑誌などを調査・収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目の研究課題については、学会発表にとどまっており、予定していた論文を執筆することができなかった。しかし、ドイツ各地の文書館、研究所、図書館を訪問することによって、来年度取り組む予定である研究課題も含めて、教育アカデミー、教員養成大学に関連する史料の収集を十分に行うことができた。さらに、日本教育学会第77回大会で発表を行ったり、二つ目の研究課題については教育史学会紀要に論文を掲載することができた。 以上のように、史料調査・収集を十分に行うことができており、ある程度の研究成果を公にできていることから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、一つ目の研究課題に関して、今年度することができなかった論文執筆を行う。さらに、今年度すでに収集した史料の分析を丁寧に行い、ナチス期の教員養成大学との比較を行っていくことによって、新教育運動の影響を受けていた教育アカデミーの教員養成カリキュラムがどのように変容していったのかを明らかにする。その成果として論文をまとめる。 11月もしくは12月の時期に、3週間の日程でドイツに滞在し、文書館や図書館を訪問して、教育アカデミー、教員養成大学に関連する史料の調査・収集を行う予定である。
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Research Products
(2 results)