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2017 Fiscal Year Annual Research Report

機能性ホウ素パイ電子系の創出と機能開拓

Research Project

Project/Area Number 17J11226
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

平井 正人  名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2020-03-31
Keywordsホウ素 / グラフェン / π共役化合物 / 光物性
Outline of Annual Research Achievements

グラフェンは、一原子分の厚さのsp2炭素原子のみで形成された二次元の薄膜シート構造をもち、軽量で、高い伝導率や強度をもつことから、エレクトロニクス、センサー、触媒、エネルギー貯蔵などの基盤材料として期待されている。この材料に電子欠損性のホウ素をドーピングすることでホウ素の空軌道を介したπ共役により、電子受容性やn型半導体としての機能性を付与できる。2017年度は、ホウ素ドープナノグラフェンの特異な物性、現象の追究を目的に、そのモデル系となる新たな含ホウ素縮合多環式分子のボトムアップ合成を推進した。
これまで、ジメチルメチレンで架橋された平面トリフェニルボランを基本骨格とする様々な平面固定化ボラン誘導体を合成し、有機エレクトロニクスデバイスへの応用、ルイス酸性を活かした化学吸着能や、アニオンやラジカルなどの不安定化学種の生成と安定化など広範に研究を展開してきた。しかし、今後、平面ホウ素π電子系化合物を、超分子化学や生体内の蛍光イメージングのツールとして用い機能を追求していく上でかさ高いジメチル架橋部位は大きな障害となる。そこで官能基化が容易なメチレン基で架橋された平面固定トリフェニルボラン誘導体を新たに設計し、合成に取り組んだ。この平面固定化ボランは、従来のジメチルメチレンで架橋されたトリフェニルボランの合成法に基づき、計9段階合成で得ることに成功した。得られた分子は、ホウ素周りにかさ高い置換基をもたないにもかかわらず、水を用いた抽出やカラムクロマトグラフィーによる精製ができるほどの高い安定性を示した。この結果は、ホウ素の平面固定化による安定化効果を再確認するとともに、ホウ素ドープナノグラフェンの基礎化学のさらなる発展の鍵となるコア骨格を提供するものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、官能基化が容易なホウ素ドープナノグラフェンのモデル系を合成し、多岐にわたる修飾により得られる特異な物性や現象を追究した上で、超分子化学や生体内の蛍光イメージングツールなどの実践的応用への実現に取り組んでいる。
本年度の大きな進展として、本研究を遂行する上で重要な鍵分子であるメチレン基で架橋されたトリフェニルボランの合成に成功した。得られた分子は、当研究室が以前報告したジメチルメチレン架橋トリフェニルボランと同様に高い平面構造をもち、ホウ素ドープナノグラフェンの最小サブユニットと捉えることができる。この化合物は、ホウ素周りのアリール基が同一平面上に固定化され、さらに水素、炭素、ホウ素のみから成る含ホウ素縮合多環式分子である。このような分子の合成は極めてチャレンジングであり、本分子の合成法は、平面ボランの化学において重要な基盤分子となりうる。また、新たに合成された平面固定トリフェニルボランは、官能基化が容易なメチレン架橋部位を同じ平面上に三箇所もつことから二次元方向への官能基化が期待でき、研究目的である新たな材料物性の探索と機能の発現に向け大きく前進したといえる。

Strategy for Future Research Activity

第一に、本研究を通じて得られた平面固定トリフェニルボランの収量の向上を目指す。今現在用いている合成法では、目的化合物のスケールアップが困難であり、さらなる機能化の検討へのボトルネックとなりうる。現時点では低収率に繋がる主な要因や反応の副生成物の特定には至っていないため、今後はそれらを明確にし、平面固定トリフェニルボランの効率的な合成法を確立する。
第二に、様々な種類のホウ素ドープナノグラフェンの合成に着手する。その中でも特に窒素、酸素や硫黄といった異種ヘテロ原子のπ共役骨格への導入を図る。これに複雑な官能基化を成さずに電子構造や物性の制御やチューニングが可能になるため、より簡易に新たな機能の発現を狙える。まずはベンゼン環に代わり、チオフェンやピリジンの導入を検討する。
最後に、πスタッキングの弊害となっていたホウ素周りのかさ高い置換基を取り除くことにより、今まで実現が困難であったホウ素ドープナノグラフェンの超分子化学への展開を目指す。特に自己集合化前後で光物性が劇的に変化させることができれば、生体内でも有用な蛍光イメージングツールへの展開が期待される。このような例はこれまでに報告されておらず、ホウ素ドープナノグラフェン分子の機能創出の新たな方向性として追求する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Antiaromatic Dithieno-1,2-dihydro-1,2-diborin Splits Diatomic Hydrogen2017

    • Author(s)
      Takafumi Araki, Masato Hirai, Atsushi Wakamiya, Warren E. Piers, and Shigehiro Yamaguchi
    • Journal Title

      Chemistry Letters

      Volume: 46 Pages: 1714-1717

    • DOI

      10.1246/cl.170812

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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