2017 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変メダカの骨折修復モデルを用いた新たな骨吸収機構の解析
Project/Area Number |
17J11294
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
畔津 佑季 昭和大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | メダカ / 骨折修復 / グルココルチコイド / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞の分化と活性化は、破骨細胞分化因子RANKLと、その受容体RANKを介したシグナル経路により制御されるが、前研究室で作製されたRANKLノックアウトメダカの研究により破骨細胞分化において未知なるシグナル経路が存在する可能性が示唆された。そこで本研究では、破骨細胞の分化や活性に関連する遺伝子改変メダカの作製と、骨折部に骨芽細胞と破骨細胞を誘導することができるメダカ骨折修復モデル(Takeyama et al., Dev Biol 2014)を用いて未知なる骨吸収機構の存在を明らかにすることを目的とした。本年度は骨折部へ誘導されてくる破骨細胞の活性を解析することで、未知なる骨吸収機構の存在を検討した。現在、骨の関連遺伝子を欠損したメダカを用いてより詳細な解析を行っているところである。 一方、国際宇宙ステーションでメダカを用いた骨の細胞の重力応答機能の研究から、グルココルチコイド(GC)シグナルが無重力環境下における骨吸収の活性化に関与していることが示唆された(Chatani et al., Sci Rep 2015 , Chatani et al., Sci Rep 2016)。そこでGCシグナルが骨代謝に及ぼす影響に注目し、骨に関連する遺伝子改変メダカを用いることで未知なる骨吸収機構の解析を行った。メダカへのGCの作用を調べるためにGC投与実験を行ったところ、GCが濃度依存的に破骨細胞と骨芽細胞を抑制することが示唆された。この結果を踏まえて、GC関連遺伝子を発現する細胞を可視化できるトランスジェニックメダカを作製してより詳細な解析を進めている。さらにGC関連遺伝子を欠損したメダカを作製した。現在、破骨細胞や骨芽細胞の動態をライブイメージングすることで、生体内での骨におけるこの遺伝子の作用を明らかにしようとしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は未知なる骨吸収機構の存在を明らかにすることであり、グルココルチコイド(GC)シグナルが骨代謝に及ぼす影響の観点から解析を進めている。初年度では、GC投与実験から、メダカにおいて破骨細胞と骨芽細胞に対するGCの作用を解析した。さらにGC関連遺伝子のノックアウトメダカを作製し、破骨細胞や骨芽細胞で特異的に蛍光タンパク質を発現するメダカと掛け合わせることで、骨代謝におけるGCシグナルの影響をライブイメージングすることが可能となった。また作製中のGC関連遺伝子を発現する細胞を可視化するトランスジェニックメダカを用いることで骨代謝に対するGCシグナルのより詳細な作用が明らかになることが期待できる。これらの得られた結果は、次年度国内外の学会で発表を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
GC関連遺伝子を発現する細胞を可視化できるトランスジェニックメダカを作製し、破骨細胞や破骨前駆細胞や骨芽細胞を観察することで、骨組織でのGC関連遺伝子陽性細胞の局在を明らかにする。さらに、このメダカへのGC投与実験を行うことで、GCがメダカ骨代謝に与える影響を解析する。 また破骨細胞や骨芽細胞を蛍光標識したGC関連遺伝子ノックアウトメダカを作製してライブイメージングすることで、生体内での骨におけるこの遺伝子の作用を明らかにする。さらに骨の関連遺伝子を欠損したメダカ骨折修復モデルも用いて誘導されてくる破骨細胞の活性および遺伝学的解析を行うことで未知なる骨吸収機構の存在を評価する。
|