2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new environmental and ecological proxies of biogenic carbonate
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17J11417
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
西田 梢 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 特別研究員(PD) (10708374)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 同位体地球化学 / 安定同位体比 / 環境指標 / 炭素同位体比 / 酸素同位体比 / クランプトアイソトープ / 炭酸カルシウム / 微量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の目的は、炭酸カルシウム殻をもつさまざまな現生・化石個体に応用しうる、炭素・酸素安定同位体比を活用した新たな環境・生態指標を確立することである。具体的には、(1)炭素同位体比を用いた代謝指標の評価、(2)絶対温度指標(Δ47)の微量化による水温復元の高解像度化、さらに(3)微小領域解析による高時間分解能の環境指標の確立を行うことを目指す。本研究は、環境解析に用いられる生物源炭酸塩において、これまで十分に活用されてこなかった同位体指標から新規の環境・生態情報を引き出すことで、古環境指標の高精度化・汎用化を達成する。さらに生態指標を活用することで、将来に予測される環境変化への生物影響評価や、生理代謝に関わる古生物進化の理解への貢献が大いに期待できる先駆的研究である。 本年度は、以下の研究成果が得られた。 (1)化石貝類殻の炭素同位体比分析から、古生物の基礎代謝の分類群による違いが炭素同位体比に現れている可能性があることが予察的に明らかになった。次年度も引き続き解析を進める予定である。 (2)Δ47炭酸凝集同位体分析システムの開発に関して、スイス工科大学チューリッヒ校にて分析技術の習得や標準化方法について学んだ。さらに、水温・pH条件を変えて飼育した二枚貝殻についてΔ47クランプトアイソトープ分析を行い、温度指標の評価やpH影響の検証を行った。(3)レーザーICPを用いた微小領域解析により、飼育実験を行った二枚貝類の殻を用いて、微量元素を用いたpH指標の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマに関連して、多くの研究トピックに取り組み、研究成果を学会発表することができた。また、スイス工科大学チューリッヒ校での在外研究を通じて、クランプトアイソトープに係る研究開発に関する情報交換や共同研究も進み、分析技術開発も順調に推移しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究内容を継続・発展させ、最終年度は(1)生物源炭酸塩の炭素同位体比を用いた代謝指標の評価、(2)Δ47クランプトアイソトープ分析システムの確立に向けた技術開発の深化、(3)微小領域解析による高時間分解能の生物源炭酸塩の環境指標の検証を行う。(1)では、化石殻や飼育実験により得られた生物絵源炭酸塩を用い、炭素安定同位体比による代謝指標の評価を行う。(2)では、Δ47クランプトアイソトープ分析システムについて、国内外の研究機関と分析技術に関して情報交換を行いながら、分析手法や補正計算等の改良を行い、システムの高度化を目指す。また、(3)では飼育実験を行った貝類試料の化学分析や微細構造観察により、微小領域の環境指標評価を行う。
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Research Products
(17 results)