2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of epigenetic transcriptional regulatory mechanism in heart failure
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17J11509
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
船本 雅文 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC2) (40882064)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 心不全 / エピジェネティクス / ヒストン / ヒストンアセチル化酵素 / クロマチンリモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、心肥大期から心不全期にかけてヒストンのアセチル化修飾部位がなぜ変化するのかというエピジェネティックな制御機構を解明することを目的とした。心肥大や心不全に関する報告が多かったクロマチンリモデリング因子のBRG1に着目し以下の方法で検討を行った。初めに、高血圧誘導性心不全モデルであるダールラットの心肥大期、心不全期の心臓を用いて免疫沈降‐ウエスタンブロッティング法によりヒストンアセチル酵素であるp300とBRG1との結合を確認した結果、p300とBRG1との結合はコントロール並びに心肥大期と比べて心不全期で有意に増加していた。また、BRG1の肥大反応遺伝子(ANF,BNP)上のプロモーターへのリクルートをin vivo クロマチン免疫沈降法により検討した結果、p300との結合と同様に心不全期においてコントロール並びに心肥大期と比べて有意に上昇していた。さらに、BRG1で免疫沈降したのちヒストンの球状ドメインであるH3K122‐Acで免疫沈降したreChIPを行った結果、肥大反応遺伝子上のプロモーターにおいて心不全期でコントロール並びに心肥大期と比べて心不全期で有意に増加していた。 以上のことから、心肥大期から心不全期にかけてヒストンのアセチル化修飾部位が変化する理由としてp300とBRG1の結合の変化並びにBRG1の肥大反応遺伝子上のプロモーターへのリクルートの変化が関連していることが考えられる。そのため、今後とテールドメインのH3K9‐AcとBRG1との関係をreChIPを用いて解明したい。今後、その結果が明らかになれば心肥大から心不全へのトリガーとなるエピジェネティックな制御機構の新たな発見につながり、新規心不全治療のターゲットとなる可能性があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒストンのアセチル化修飾部位を変化させる因子の候補としてクロマチンリモデリング因子のBRG1を候補として絞り込んだ。さらに、高血圧誘導性心不全モデルのダールラットを用いた実験においてタンパク質について解析する実験系(ウエスタンブロッティング法、免疫沈降法、クロマチン免疫沈降法)で心肥大期から心不全期にかけてBRG1とp300との結合が増加することやBRG1の肥大反応遺伝子上のプロモーターへのリクルートが増加することなどの結果が見出されたことから当初の計画以上に本研究は進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進策としては、高血圧誘導性心不全モデルのダールラットの心肥大期、心不全期の心臓を用いてBRG1とH3K9のアセチル化との関係を検討するためにreChIPを行う。また、培養心筋細胞にBRG1の過剰発現系によるGain of functionやsiRNAを用いたLoss of functionを用いてH3K9並びにH3K122のアセチル化修飾に対してどのような影響を与えるのかについて検討を行う。 以上のことから、心肥大期から心不全期にかけて起こるヒストンのアセチル化修飾部位の変化を起こす制御因子がBRG1であるかどうか解明する。
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Research Products
(5 results)