2017 Fiscal Year Annual Research Report
Modification of calcium silicate hydrates by inorganic / organic nano size materials
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17J11519
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
栗原 諒 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | セメントペースト / カルシウムシリケート水和物 / 空隙構造 / 乾燥収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリートはセメントペーストと骨材の複合材料であり,セメントペーストの乾燥収縮は,コンクリートの乾燥収縮の駆動力となる。本研究は,コロイド的性質と多孔体的性質を有するセメントペーストの乾燥時の変質を,ナノサイズ物質の混和によって制御する手法の開発を目的とし,最終的にナノサイズ物質の添加によってコンクリート構造物の体積変化によるひび割れを抑制し,耐久性の大幅な向上を可能にすることを目指している。平成29年度はまず、セメントペーストの骨格構造を担い、また乾燥時の変質が大きいカルシウムシリケート水和物(C-S-H)の基本的なキャラクタリゼーションを行うことを目的とし、実験的検討として試験体の作製および水和反応に伴う反応率・水和生成物の定量、空隙構造の測定、特定の材齢からの乾燥収縮量の測定を進めた。 異なる鉱物組成・粒子径による水和反応および収縮挙動の把握:セメントペーストの骨格構造を担うC-S-Hは、エーライト・ビーライトの2種のクリンカー鉱物の水和反応から析出するが、両者の水和反応速度は異なる。水和反応の遅いビーライトを多く含む低熱ポルトランドセメントおよびセメント粒度の異なる普通ポルトランドセメントを用いた試験体を作製した。C-S-Hの内、もとのセメント粒子の外側に析出する低密度なC-S-Hは、乾燥時の構造変化が大きいとされセメントペーストの乾燥収縮挙動へ与える影響が大きいと考えられる。したがって、試験体作製後の特定の材齢で粉末X線回折・リートベルト解析による反応率および相組成の評価、水蒸気・窒素を用いた吸着試験による空隙構造の同定、比表面積の測定、1H-NMRを用いたC-S-H中の空隙構造の評価等の分析を行い、併せて実施している乾燥収縮試験と共にセメント種類やセメント粒径の違いによる低密度なC-S-Hの析出性状および収縮ひずみとの関係評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セメントペーストの骨格構造を担い、乾燥時の変質が大きいと考えられるカルシウムシリケート水和物の基本的キャラクタリゼーションを目的として、実験的検討を行ってきた。 本年度中に試験体の作成を進め、乾燥履歴を経る以前の所定材齢における水和生成物の定量・空隙構造の測定などを進め、また20度における一連の乾燥試験を開始した。 平成30年度以降、乾燥試料について各乾燥条件下で平衡状態になったのちに各種測定を行い、乾燥後のセメントペーストおよびカルシウムシリケート水和物の変質について定量的な評価を実施していく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
水和物の乾燥収縮挙動および吸着性状の把握:セメントペースト中のC-S-Hのキャラクタリゼーションを行う上で、代表的なセメント鉱物であるエーライトから析出するC-S-Hに着目し、エーライトペーストを作製する。また、C-S-Hと類似した結晶構造を持つとされる結晶性のジェナイト、プロンビエライトを合成し、今後、エーライトペーストの乾燥収縮試験や吸着試験および類似構造の合成試料に関する検討を行う。
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