2017 Fiscal Year Annual Research Report
運動は褐色脂肪を増量・活性化するか? 新規褐色脂肪評価法を用いた検討
Project/Area Number |
17J11622
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
二連木 晋輔 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 褐色脂肪組織 / 自律神経 / 運動 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
24名を対象に、サーモグラフィ法でも非侵襲的かつ簡便に褐色脂肪組織を評価できるかについての検討を行った。対象には、18FDG-PET/CT法(2時間の寒冷負荷を行い糖取り込みを評価)による褐色脂肪活性値の評価および、サーモグラフィ法による皮膚温度の変化を水浸漬試験および2時間の寒冷負荷試験で評価した。その結果、褐色脂肪活性の高い被験者は寒冷負荷後に褐色脂肪組織の存在する鎖骨上窩の皮膚温度が他部位より高くなった。一方で、褐色脂肪活性の低い被験者にはその反応は見られなかった。この結果は褐色脂肪組織が寒冷負荷などの寒冷刺激によって熱を放出した結果であると考えらえる。 また、褐色脂肪組織密度と交感神経活動との関連について検討も行った。性、年齢をマッチさせた40名を対象に、夏季と冬季に褐色脂肪組織密度と自律神経の測定を行った。その結果、褐色脂肪組織密度は冬季に増加した。これは冬季の気温低下により熱産生を行うために、褐色脂肪組織が増量したと考えられる。また褐色脂肪組織の増量には交感神経活動の活性化が重要であることが知られており、交感神経の指標である、LFやVLFが褐色脂肪組織密度の増加に伴い増加した。特に、VLFは、熱産生に関与する交感神経の指標(VLF)である。一方で、副交感神経指標であるHFは冬季で低値であった。本結果は、第38回日本肥満学会で発表を行い、Journal of Physiological Anthropologyに原著論文として採択された。 アスリートと褐色脂肪組織や肥満との関連を調べるために、ラグビー部80名を対象に、非アルコール性脂肪肝の発生率や褐色脂肪組織関連遺伝子多型を評価した。その結果、バックスに比較してフォワードに非アルコール性脂肪肝が多く発生していた。しかし、遺伝子多型との関連は見られなかった。本結果については、Frontiers in Endocrinologyに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
褐色脂肪組織密度と交感神経活動との関連について検討を行うため、40名を対象に、夏季と冬季に褐色脂肪組織密度と自律神経の測定を行った。その結果、褐色脂肪組織密度と熱産生に関与する交感神経の指標(VLF)は夏季と比較して冬季に増加することがわかった。本結果は、第38回日本肥満学会で発表を行い、Journal of Physiological Anthropologyに原著論文として採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のサーモグラフィの研究について、18FDG-PET/CTとの関連性の検討、経時的な皮膚温度変化の解析などを詳細に行い、褐色脂肪組織活性がどの程度評価できるかを検証していく。本結果については第39回日本肥満学会にて発表を行う予定である。
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