2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17J30010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志甫谷 渉 東京大学, 理学系研究科生物科学専攻生物化学講座構造生命科学研究室, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | GPCR / 単粒子解析 / 構造生物学 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、脂質受容性GPCRのX線結晶構造解析と、あるclass A GPCRとG蛋白質との複合体のクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析を試みた。脂質受容性GPCRに関しては、すでにホモロジーモデルを用いた設計とスクリーニングによって、4つの耐熱化変異を同定していた。耐熱化変異体の脂質中間層を用いた結晶化に成功した。結晶が小さかったものの、微小結晶データをマージすることによって低分解能ながらも6Å分解能のまとまったデータを得ることに成功した。分子置換法によって位相決定を行い、結晶化パッキングを議論できるレベルでの構造決定に成功した。構造から、結晶化パッキングを構成している疎水性相互作用をより強める変異体を設計し、発現精製することができた。あるclass A GPCRについては、ヒト由来のものについては安定性や発現量が悪かったため、他の生物種のホモログスクリーニングを行った。その結果、ある生物種由来のホモログが作動薬存在下で安定に発現精製できることが分かった。この精製受容体と刺激性G蛋白質複合体を混合してゲルろ過クロマトグラフィーを行ったところ、安定に複合体を形成できることを確認した。複合体溶液を約7 mg/mlになるまで濃縮してグリッド上で凍結した。このグリッドを東京大学のクライオ電子顕微鏡TALOSによって観察し、粒子の画像を得て統合すること分解能4.8オングストロームの構造決定に成功した。複合体中のヘリックスの電子密度が明瞭に観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脂質受容性GPCRについては、安定化変異を用いることで結晶化に成功し、低分解能ながら分子置換による位相決定に成功している、当初の計画以上に進展しているといえる。class A GPCRについては、ホモログスクリーニングの結果安定に精製できるホモログの同定に成功し、Gsタンパク質との複合体の調整に成功した。そして、クライオ電子顕微鏡TALOSを用いて分解能4.8オングストロームでの構造決定にもすでに成功している。こちらも、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず脂質受容性GPCRについては、結晶を大きくすることで分解能の向上を狙う。具体的には、LCPハンギングドロップ法などを用いて結晶を大きくして、より結晶へのダメージが少ない方法で結晶を回収し、SPring-8 BL32XUにて高分解能のX線回折データを収集する。また、低分解能データから示唆された、さらに結晶化パッキングを安定化させる変異体を作製し、精製と結晶化を試みる。class A GPCR-Gタンパク質との複合体については、約7 mg/mlの濃度の精製試料をグリッド上に添加し、複合体溶液を加えてろ紙で吸って凍らせる。このグリッドを東京大学Titan kriosで3000枚程度の画像を撮影し、約100万粒子のデータを集めてMotionCor2やRelion 3.0を用いて処理する。分解能3.0オングストロームで構造決定することを目標とし、小分子作動薬の結合様式を解明することを目指す。
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Research Products
(1 results)