2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化における核小体の形態・機能変換の分子機構の解明
Project/Area Number |
17J40011
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井形 朋香 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年著しく発展している老化研究により、個体の老化(aging)に細胞の老化(cellular senescence)が関与することが示唆されている。細胞老化とは、様々なストレス(テロメアの短縮、発がんシグナルの活性化、酸化ストレスなど)により細胞に修復不可能なDNA損傷が生じた際に、p53-p21経路やRB (Retinoblastoma)-p16経路の活性化を経て細胞分裂を不可逆的に停止する状態である。 本研究では、細胞老化による核小体の形態変化に関わる転写因子が細胞老化を抑制する分子機構を明らかにすることを目的とした。本年度において、次世代シーケンス解析を行い、標的遺伝子の探索を行った。その結果、既に細胞老化に関わることが報告されている遺伝子や、細胞老化との関連は全く報告がない遺伝子を含む、約200遺伝子の標的遺伝子を同定した。さらに、ノックアウトマウスや老齢マウスの解析を行い、細胞老化抑制機構による個体の抗老化への効果を検証した。その結果、この転写因子が個体老化に関わることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した次世代シーケンス解析の結果、既に細胞老化に関わることが報告されている遺伝子や、細胞老化との関連は全く報告がない遺伝子を含む、約200遺伝子の標的遺伝子を同定することに成功した。またノックアウトマウスや老齢マウスの解析により、この転写因子が個体老化に関わることも明らかにした。これらのことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、同定した標的遺伝子やその関連シグナル伝達経路などが、転写因子の関与する細胞老化抑制機構に対してどのように機能するかを検証する。また、培養細胞の実験結果から得られた細胞老化抑制の分子機構について、個体での役割を検証することにより、個体の抗老化における、細胞老化の抑制機構の重要性を明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)