2017 Fiscal Year Annual Research Report
対面相互行為分析による野生チンパンジー社会のエスノメソッドの解明
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17J40059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西江 仁徳 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-07-03 – 2021-03-31
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Keywords | 相互行為 / チンパンジー / 社会 / 文化 / エスノメソドロジー / ジェスチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、野生チンパンジー社会における複数の相互行為を詳細に記述・分析することを通して、「チンパンジーのエスノメソッド(=社会的なやり方)」を解明することである。具体的には、「リーフクリップ」と呼ばれる道具使用をともなう相互行為、および、出会いのさいの「挨拶」とみなされる相互行為のそれぞれについて、詳細な相互行為分析にもとづいてチンパンジーのエスノメソッドを明らかにする。 本研究の目的および実施計画にしたがい、タンザニア・マハレのチンパンジーの「リーフクリップ」行動について、動画資料を用いた相互行為分析をおこない、2017年8月に国際学会(Behaviour2017@Estoril, Portugal)で発表した。2018年1月から2月にかけてフィールド調査を実施する予定だったが、渡航直前の不測の病気によりキャンセルせざるをえなかったため、データの収集ができなかったが、これまで蓄積した映像資料の分析を進めており、また上記の学会報告の成果をまとめて論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リーフクリップの予備的な分析結果を国際学会で発表し、またこれまで収集した稀な事例についての論文や学会発表を進めることができたのは大きな成果だったが、2018年1月に予定していたフィールド調査が渡航直前の不測の病気によりキャンセルせざるをえなくなったのはデータ収集の面ではマイナスとなった。ただ、これまで蓄積したデータの分析は順調に進んでおり、本研究全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年1月のフィールド調査を断念せざるをえなかったため、今後のフィールド調査の期間や回数を増やすことで、この遅延を取り戻す必要がある。データの分析はおおむね順調に進んでいるので、今後は研究会や学会での発表を通して議論を深め、論文執筆を進める予定である。
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[Presentation] 野生チンパンジーの対峙的屍肉食:同所的肉食動物との関係に着目して2017
Author(s)
中村美知夫, 保坂和彦, 伊藤詞子, 松本卓也, 松阪崇久, 仲澤伸子, 西江仁徳, 島田将喜, 高畑由起夫, 山上昌紘, 座馬耕一郎
Organizer
第71回日本人類学会大会