2017 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた小児神経発達障害におけるシナプス病態の理解
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17J40108
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
下島 圭子 東京女子医科大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | 小児神経発達障害 / ゲノム解析 / 疾患iPS細胞 / 病態解析 / 神経分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児神経発達障害は、近年の大規模なゲノム解析により様々なゲノム変異が症状の出現に関わっていることが明らかになってきた。関連遺伝子の種類は多岐に亘るが、遺伝子変異は百人百様でありメジャーな遺伝子が存在するわけではない。本研究の目的は希少な小児神経発達患者におけるゲノム変異が引き起こす神経細胞レベルの病態を効率よく解析する系を確立させ、表現型の観察だけでは分からない分子レベルの疾患概念を確立させることにある。 本年度は、これまでの研究で既に得ている複数の疾患特異的iPS細胞株に、迅速神経分化誘導法を行うためのプラスミドを導入し、直接ニューロンへの分化誘導が可能となるiPS細胞を作製した。さらに、蛍光色素(EGFP, DsRed)を導入するためのレンチウイルスベクターを設計し、実際に正常コントロールiPS細胞と疾患特異的iPS細胞に導入した。それらの細胞株を用いて迅速神経分化が可能であることも確認した。また、CDKL5遺伝子を対象として、ある程度成熟した正常iPS細胞由来の神経細胞に対してターゲット遺伝子をノックダウンするためのモルフォリノアンチセンスオリゴを設計した。並行して、別のノックダウン方法としてCDKL5遺伝子を切断することで機能不全となるように設計したCRISPR/Cas9によるゲノム編集ツールを設計し、実際にシングルセルクローニングによってゲノム編集を試みた。現在はその評価中である。また、原因不明の小児神経発達障害患者のゲノム解析も継続して行い、新規遺伝子変異を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
迅速神経分化法が可能であり且つ蛍光色素ラベルしたiPS細胞を正常コントロールiPS細胞と疾患iPS細胞ともに得ることができた。 病態再現のためのノックダウンの方法を複数計画し、一部を実施した。シングルセルクローニングを行い現在評価中であり、予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
モルフォリノアンチセンスオリゴを用いた方法・CRISPR/Cas9によるゲノム編集法によるノックダウンを成功させ、得られたiPS細胞を用いて活動電位の測定やスパインの密度測定などの病態解析を進める。 本研究者らが病的変異を明らかにできた遺伝子は本年でさらに増加したため、病態が明らかでない遺伝子についても順次ノックダウン実験を進める。
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