2019 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた小児神経発達障害におけるシナプス病態の理解
Project/Area Number |
17J40108
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
下島 圭子 東京女子医科大学, 附属遺伝子医療センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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Keywords | 発達障害 / iPS細胞 / 神経分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児神経発達障害は、近年の大規模なゲノム解析により様々なゲノム変異が症状の発現に関わっていることが明らかになってきている。関連遺伝子の種類は多岐にわたるが、遺伝子変異は百人百様であり、メジャーな遺伝子が存在するわけではない。本研究の目的は、希少な小児神経発達障害におけるゲノム変異が引き起こす神経細胞レベルの病態を効率よく解析する系を確立させ、表現型の観察だけではわからない分子レベルの疾患概念を確立させることにある。 当該研究員のグループは今までに、Xq22領域の微細欠失によって高度な発達障害を来たすことを明らかにしてきた。このうち1名は女性だったことから、X不活化の影響を免れる遺伝子が患者の病態の原因であることが推測された。本年度はこの患者由来のiPS細胞を複数樹立し、そのモノクローナル化した細胞クローン間で欠失範囲内に位置する遺伝子のうち、X不活化の影響を免れる遺伝子を探索した。 具体的には複数のiPS細胞クローンからRNAを抽出し、発現が異なる遺伝子をRT-PCRによってスクリーニングした。これによってある遺伝子が両アリルで発現していることを突き止めた。X不活化を免れる遺伝子である可能性があり、当該遺伝子がXq22微細欠失によって引き起こされる女児の発達障害に関わる可能性が示唆される。 ここまでの結果を論文にまとめて投稿の準備をすすめている。また、このiPS細胞を用いて神経分化誘導を行い、正常コントロールと比較する解析も続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患iPS細胞を病態解析モデルとして用いた解析をすすめて、本年度までの成果を論文にまとめて投稿する準備をするところまで実行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、我々が明らかにしたこの両アリル発現遺伝子について、正常iPS細胞から分化誘導した神経細胞においてノックダウンさせることによってどのようなphenotypeが表出されるかを明らかにしていく計画である。神経細胞における形態変化やシナプス形成異常が明らかになれば、この遺伝子が重度発達障害と関連していることを証明することができるものと考える。
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[Journal Article] Genomic backgrounds of Japanese patients with undiagnosed neurodevelopmental disorders.2019
Author(s)
Yamamoto T, Imaizumi T, Yamamoto-Shimojima K, Lu Y, Yanagishita T, Shimada S, Chong P-F, Ryutaro Kira R, Ueda R, Ishiyama A, Takeshita E, Momosaki K, Ozasa S, Akiyama T, Kobayashi K, Oomatsu H, Kitahara H, Yamaguchi T, Imai K, Kurahashi H, Okumura A, Oguni H, Seto T, Okamoto N.
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Journal Title
Brain and Development
Volume: 41(9)
Pages: 776-782
DOI
Peer Reviewed
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