2017 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋ネットワーク変性における分子シグナル異常を標的とした治療法開発
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17J40128
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯田 円 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 球脊髄性筋萎縮症 / SBMAマウスモデル / Srcシグナル / Src阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 運動ニューロン疾患における時空間的分子シグナル異常の解明と治療法開発 ①SBMA細胞モデル、マウスモデルにおけるSrcシグナルの検証:申請者らは以前行ったBio-plexを用いた網羅的解析により、SrcシグナルがSBMAの病態に大きく関連している可能性を考えている。ウエスタンブロットや免疫組織学的手法によりSrcの活性を検証したところ、SBMA細胞モデル(97Q細胞)ではコントロール(24Q細胞)と比較してリン酸化Srcが上昇していることが明らかとなった。また発症前のSBMAマウスモデルにおいても脊髄と骨格筋でSrcの活性化をみとめBio-plexの結果と同様であった。②Src kinase inhibitor (SKI)の効果解析:SBMA細胞モデルとコントロール細胞を分化させSKIであるA419259 trihydrochlorideを投与したところ、SBMA細胞モデルであるAR-97Q細胞のviabilityが改善することが明らかになった。さらにこれらの細胞モデルにSrcを一過性強制発現させたところ、mockを一過性強制発現させた細胞と比較して、細胞のviabilityが低下した。以上の結果よりSBMA細胞モデルにおいてSrcのリン酸化上昇が病態を悪化させる可能性が示唆された。次にSBMAモデルマウスに0.5mg/kg/dayのSKIを腹腔内投与すると、phenotypeと生存期間が有意に延長した。③特許出願:SKI投与により、SBMA細胞モデルのviabilityが改善し、さらにSBMAマウスモデルの病態改善をみとめたため「Src阻害薬を有効成分として含有する運動ニューロン疾患治療薬」(特願2017-154884)と題して2017年8月10日に特許申請を行った。 B. 下位運動ニューロンにおける神経回路障害の分子メカニズム:AR-floxマウスを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の分子シグナル異常を標的とした治療法開発において、細胞モデル、マウスモデルを用いてSBMAにおけるSrcシグナル異常を明らかにした。SBMA細胞モデルを用いた実験では、細胞モデル作成から開始し、SBMA細胞モデルに対する複数のSrc kinase inhibitor (SKI)の効果を検討した。またSrcの一過性強制発現によりSBMA細胞モデルの活性低下を示し、SBMAの病態におけるSrcシグナルの関与が明らかとなった。さらにSBMAモデルマウスへのSKI投与では、SKIの中でも水溶性であるA419259 trihydrochrolideの投与により、マウスの脊髄と骨格筋におけるSrcのリン酸化が濃度依存性に低下することを見出した。SKIの投与量と投与頻度を決定した後、非臨床試験を行い、SKI投与群ではSKI非投与群と比較して体重などの各種パラメーターならびに生存率が改善した。これらの結果をもとに「Src阻害薬を有効成分として含有する運動ニューロン疾患治療薬」と題して産業財産権を申請した。 下位運動ニューロンにおける神経回路障害の分子メカニズムの解明については、ARをコンディショナルにノックダウンさせる方法として、当初の予定であったウイルスを用いる方法ではなく、ノックダウン効率がより高いCre-loxPシステムを採用することとなった。現在SBMAの病原遺伝子であるAndrogen receptorをloxP配列で挟んだ人工遺伝子を合成し、AR-floxマウスを作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
運動ニューロン疾患における時空間的分子シグナル異常の解明と治療法開発においてはSKIの作用機序を解明する予定である。具体的にはSKI投与時のSrcのエフェクター分子の挙動についてウエスタンブロットなどを用いて明らかにする。下位運動ニューロンにおける神経回路障害の分子メカニズムの解明については、人工遺伝子を作成後受精卵にinjectionする予定である。
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Research Products
(5 results)