2018 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚における高内皮静脈様血管の形成メカニズムとその役割の解明
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17J40146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 さち子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-07-03 – 2021-03-31
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Keywords | 高内皮静脈様血管 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
・昨年までの検討でアトピー性皮膚炎モデルにおいて、樹状細胞、LT-LTβRシグナル、 IL-7-IL-7RaシグナルがHEV様血管形成に強く関与している可能性が示唆された。一方で、マクロファージ、TNFα-TNFRI/IIシグナル、RANKLを欠損あるいは中和抗体で阻害をしてもHEV様血管形成は抑制されなかったことから、関与は低いと考えた。 ・IL-7-IL-7Raシグナルの関与について、さらに検討を進めた。皮膚のIL-7のソースとして考えられているケラチノサイト、リンパ管にそれぞれ特異的にIL-7を欠損するような状況(K5Cre:IL-7flox/flox, Tie2Cre:IL-7flox/floxマウス)ではHEV様血管形成は抑制されなかった。さらに樹状細胞特異的にIL-7Raを欠損する様な状況(CD11cCre-ERT2:IL-7Raflox/flox)においてもHEV様血管は誘導されたことから、IL-7KOマウス、IL-7Ra中和抗体において認められたHEV様血管形成阻害は、他の炎症細胞の活性化や誘導阻害による炎症全体の抑制に伴うものと考えられた。 ・樹状細胞がLTシグナルを血管に入力し、HEVの形質を誘導するのではないかという仮説において、樹状細胞と血管の位置を免疫組織染色で観察した。樹状細胞が後毛細管静脈の周囲にクラスターを形成し、その中心でHEVの形質であるperipheral node addressinを発現することを確認した。 ・樹状細胞は何らかのシグナルを介して血管内皮周囲にクラスターを形成することが示唆されたことから、ケモカインの多くを阻害する Gi-inhibitorである百日咳毒素を炎症を起こした皮膚に皮下注射を行うと、HEV形成と樹状細胞クラスター形成の両者が抑制され、クラスターはケモカイン依存性に形成されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、樹状細胞が後毛細管静脈周囲にケモカイン依存性にクラスターを形成し、膜型であるLTシグナルを血管に入力することでHEVの形質を誘導することが示唆された。来年度は、さらに樹状細胞サブセットごとの血管形成メカニズムへの作用に迫るとともに、皮膚におけるHEV様血管の形成の役割について検討を進めたい。アトピー性皮膚炎モデルで炎症の再惹起に関与すると考えられるセントラルメモリーT細胞を中心に、HEV様血管の存在意義を解明したいと考える。
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