2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
横尾 英俊 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70134153)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報基礎 / 情報理論 / データ圧縮 / ユニバーサル符号 / エントロピー符号化 |
Outline of Annual Research Achievements |
無ひずみデータ圧縮の新体系確立を目指す本研究では,無ひずみ圧縮の枠組みがモデル化と符号化とから成ることを踏まえ,両側面へのアプローチを独立して進めてきている。まず,モデル化の領域では,部分列数え上げデータ圧縮法を中心にすえて,それを導出する複数のモデルを明らかにした。一つは,部分列の個数を符号化する,この手法本来のモデルである。さらに,記号列の無ひずみ変換法であるBW変換にある種の符号化法を組み合わせることで,部分列数え上げデータ圧縮法が得られることも明らかにした。後者の結果,BW変換を他の変換に置き換えることで,部分列数え上げデータ圧縮法が真に拡張できることになる。そのような拡張の一例として,部分列数え上げデータ圧縮法で不可欠の巡回系列としての同値類から情報源記号列を一意に特定するための符号語を必要としない新しい変種の提案を行った。 符号化の領域においては,ANSと呼ばれる新しいエントロピー符号化法の冗長度を解析した。ANSで最初に必要となる情報源の確率分布の近似法を近似度優先から冗長度優先の近似に変えることで,冗長度が有意に改善できることを示した。この結果を受けて,情報源の確率分布から冗長度優先の近似を直接算出することのできる公式を導き,2元,3元,および多情報源を対象として,その性能を数値的に評価した。ANSには複数のバリエーションがあるため,それらを特徴づける記号分布によって圧縮性能が変化する。想定しうる様々な記号分布に対する性能変化を網羅的に検証した。ただし,適切な記号分布を機械的に生成し,瞬時に計算することのできる方法が2元の場合しか知られていないため,そのような考えを多元に拡張することを試みた。ただし,満足な結果には至っていないため,引き続き検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究課題を着実にこなしている。ANSを記号分布のみで特徴づけて網羅的に評価するという点では,計画以上の進展ということができる。また,部分列数え上げデータ圧縮法を真に拡張できた点も大きな成果である。それ以外の進展については,想定の範囲で着実に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には,これまでの研究計画をこのまま推し進めると同時に,モデル化と符号化の統合に向けて,研究のまとめを行う。同時に,モデル化と符号化のそれぞれの領域においても完成度の高い総括を行う。具体的には,部分列数え上げデータ圧縮法と記号列の無ひずみ変換法を総合した体系化を行う。さらに,新しいエントロピー符号化法として注目されているにもかかわらず体系的な解説のなされていないANS法に対し,基礎から応用にわたる記述を完成させる。
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