2017 Fiscal Year Research-status Report
グラフ理論的手法に基づく離散最適化アルゴリズムの設計
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17K00014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永持 仁 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70202231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Shurbevski A 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70750230)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 離散最適化 / グラフ / 近似アルゴリズム / 経路探索 / NP-困難 / グラフ描画 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
与えられたグラフを指定された次数の上限制約を満たすように分割するという新しく,かつ自然な問題の定式化を導入し,その計算複雑性について研究成果を得た.まず,この問題がNP-完全性であること証明し,次に,分割の一つの節点集合のサイズをパラメータと見たとき,この問題がFPTであることを,問題に対するカーネルを構築するアルゴリズムを設計することで証明を行った.これはFTP研究の代表的な結果である,節点カバー問題がカーネルを持つという性質を広く一般化した結果である. トラック運搬とトラックからのドローンを用いた配達を組み合わせた新しい配送システムを想定した,配送スケジューリング問題をいくつか新たに定式化し,これらに対して,NP-完全であることの証明を行い,定数倍の理論性能を持つ近似アルゴリズムを設計した.こらの結果は,TSPに対する近似アルゴリズムの設計手法を一般化した方法で得られている. 施設配置ゲーム問題に対する戦略耐性メカニズムの設計問題において,戦略耐性の強度を緩和したとき,全体コストにおけるメカニズム解と最適解との比率が改良できるかという新しい視点で研究を行い,施設配置空間が直線状である場合,強度の緩和と比率の改善の間のほぼ完全なトレードオフの関係式を発見することができた. NP-完全問題である二階層グラフ描画問題を厳密に解くために,整数計画法による新しい定式化を導入し,その計算効率をCPLEXを利用した計算機実験を通じて確認を行った.この結果,グラフの密度が高いほど従来法に比べて高速に問題が解けることが分かった. NP-完全問題であるグラフ上の最適化問題である枝支配集合問題に対して,指数時間厳密解法の計算時間のオーダーの改善を行った.この他,順位不確定プレーヤーをもつルームメイト問題のNP-完全性の証明を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的であるモデリングの構築,アルゴリズム理論の研究,計算機上での実用性実験など,いずれについても成果を出すことができた.モデリングの構築では,トラック運搬とトラックからのドローンを用いた配達を組み合わせた新しい配送システムを想定した,配送スケジューリング問題の計算複雑性,近似可能性について研究を行い,アルゴリズム理論の研究では,グラフ分割問題として一般的な問題設定を導入して,そのFPTの性能について研究を行った.計算機上での実用性実験では,整数計画法に基づく解法を提案し,実際に計算機実験を通じて性能評価を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで指数時間厳密アルゴリズムの設計,近似アルゴリズムの設計,そして,整数計画法をに基づく厳密アルゴリズムの設計を行っている.前者は,計算時間の上界のオーダー表記に代表されるように,計算機科学の計算の基礎理論に関する研究成果であり,後者は,切除平面法などの最適化理論を駆使して設計された方法に基づく実用性を重視したオペレーションズ・リサーチの数理計画法に関する研究成果である.今後も,計算機科学の計算の基礎理論,オペレーションズ・リサーチの数理計画法という,理論的側面,実用的側面を考慮しながら,離散最適化問題に対してアルゴリズムの設計を行っていく.特に,離散最適化問題の実行可能解の列挙について,家族木に基づく分枝アルゴリズム,動的計画法,ZDDなどのダイアグラム構築法,Prufer codeのようなコード変換法など様々なアルゴリズム設計原理に基づいて,高速なアルゴリズムを生み出していく予定である.
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Causes of Carryover |
国際会議参加に使用の予定が大学の用務により取りやめとなったため. 今年度の国際会議発表に利用する計画.
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