2018 Fiscal Year Research-status Report
グラフ理論的手法に基づく離散最適化アルゴリズムの設計
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17K00014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永持 仁 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70202231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Shurbevski A 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70750230)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 離散最適化 / グラフ / 近似アルゴリズム / データマイニング / NP-困難 / グラフ描画 / 人工ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
生物学の系統樹作成と関係のあるPCGと呼ばれるグラフに関して,その構造上の性質を調べ,PCGを列挙するためのアルゴリズムの設計と実装を行った.この結果,節点数が8のグラフではPCGでないものは7個であることを突き止めた. グラフを描画する問題に関して,整数計画法を利用した二階層描画法の高速化,角度制約を有する新たな直線描画問題の定式化および多項式時間で解ける問題クラスの導出,そして,グラフの二ページ埋め込み描画の線形時間アルゴリズムの簡素化の成果を得た. グラフデータマイニングに関して,アイテムを共有する連結誘導部分グラフを列挙する問題に対して,節点集合の交差演算に基づく新しいアルゴリズムCOOMAを設計し,その設計と実装を行った.従来,最も性能の高いアルゴリズムは節点の添加操作に基づくアルゴリズムCOPINEであったが,COOMAは,計算時間量の上界が出力する解の個数の多項式時間で抑えられる点が特徴であり,実験の結果.アイテム数が少なく,部分グラフの大きい解が多い場合には,COPINEより性能が高いことが示された. ドローンとトラックを組み合わせたスケジューリング問題に関しては,厳密解法の計算量の理論的解析や整数計画法に基づく方法の実装などを行った.この結果,100節点程度のネットワークであれば実用的な計算時間で厳密な最適スケジューリングが求められることが分かった. 人工ニューラルネットワーク(ANN)では,学習後に新しい入力ベクトルに対してANNはその推定値を返すが,逆に所望の推定値を与えて,これに対応する入力ベクトルを構築する問題は「ANNの逆問題」であり,化学グラフの推定問題に応用のある問題である.この逆問題を混合整数計画法として解く方法を理論的に示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的であるモデリングの構築,アルゴリズム理論の研究,計算機上での実用性実験など,いずれについても成果を出すことができた.特に,「人工ニューラルネットワークの逆問題」が混合整数計画法としてモデル化できることを示すことができた.これは創薬開発の計算機支援技術の新しい扉を開く重要な結果である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで指数時間厳密アルゴリズムの設計,近似アルゴリズムの設計,そして,整数計画法をに基づく厳密アルゴリズムの設計を行っている.前者は,計算時間の上界のオーダー表記に代表されるように,計算機科学の計算の基礎理論に関する研究成果であり,後者は,切除平面法などの最適化理論を駆使して設計された方法に基づく実用性を重視したオペレーションズ・リサーチの数理計画法に関する研究成果である.今後も,計算機科学の計算の基礎理論,オペレーションズ・リサーチの数理計画法という,理論的側面,実用的側面を考慮しながら,離散最適化問題に対してアルゴリズムの設計を行っていく.特に,離散最適化問題の実行可能解の列挙について,家族木に基づく分枝アルゴリズム,動的計画法,高速なアルゴリズムを生み出していく予定である.
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Causes of Carryover |
国際会議の開催日程の兼ね合いで関係国際会議の発表予定を合わすことができなかったため.今年度の国際会議発表に利用する計画
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