2019 Fiscal Year Research-status Report
Structure and computing efficiency of number-conserving cellular automata
Project/Area Number |
17K00015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今井 勝喜 広島大学, 工学研究科, 助教 (20253106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セルオートマトン / 保存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、物理的な質量保存に対応する性質をモデル化した数-保存的セルオートマトン(NCCA)の粒子移動モデルとしての性質を、その計算能力や計算量的側面から明らかにすることが目的である。昨年度まではNCCAの粒子移動のモデルであるモーション表現の近傍サイズについての階層性に着目してその性質を調べてきたが、今年度はモーション表現と遷移規則の対応関係をより詳細に調べるため、2状態NCCAで遷移規則が1を返す、すなわち 1 の移動に関与するパターンの特徴を表すpairとquadと呼ぶ構造に着目し、すべてがquadのNCCA場合とすべてがpairのNCCA場合についてその性質を調べた。得られた結果を現在投稿中である。またNCCAの状相の時間遷移を粒子の移動を追跡しやすく可視化するシミュレーションツールを作成中だが、そのために必要な3次元表示デバイスを調達中であり、入手次第、シミュレーションツールを完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2状態のNCCAについて、遷移規則が 1 を返す、すなわち 1 の移動に関与するパターンの特徴を表すpairとquadと呼ぶ構造に着目し、すべてがquadのNCCA場合とすべてがpairのNCCA場合についてその性質を調べた。その結果、すべてが quadの近傍サイズ n のNCCAは近傍サイズ n-2 のNCCAの数と一致し、遷移規則が 1 を与えるパターンは n-2 のNCCAのそれらすべてに依存することがわかった。これより、すべてがquadの場合は 1 を値にもつビットパターン全体が再帰的に近傍サイズが小さいNCCAのパターンの影響を受けてていることになるが、すべてがpairのNCCAの遷移規則が 1 を与えるパターンは両サイドの 2ビットのみに依存することがわかった。すべてがquadの場合と異なり、すべてがpairからなるNCCAは近傍数の小さなNCCAの遷移規則のパターンへの再帰的な依存が少ないので、任意の近傍サイズ n のそれらの数を直接求めることができるのではないかと予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
NCCAのpairとquadの特徴をさらに詳しく調べる。まず、すべてがpairからなるNCCAは、さらに両サイドの2ビットのうち1ビットは定まっており、自由度は1ビットのみ、すなわち、 pairの右サイドか左サイドのどちらかだけが0,1の自由度を持つだけであると予想しており、それを証明する。さらにすべてがpairからなるNCCAの数を求める方法を見出す。また、近傍サイズが大きくなるに従って複雑になる粒子の移動を3次元で可視化するためのツールを作成中であり、それを完成させ、個々の規則に共通する特徴を見出す。特にpairとquadの両方を持つ場合について意味のある特徴を見出すことを目標にする。
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Causes of Carryover |
本年度購入を予約していたAR表示装置(Microsoft Hololens2)の出荷遅延により、現在当該研究に利用しているHololens 1 上で稼働するシミュレーションソフトウェアの移植と、その利用が停止したままになっており、研究遂行に想定以上に時間を 要しているため補助事業期間延長を申請する。2ヶ月以内程度には入手可能と想定され、入手され次第研究を再開する予定であ る。
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Research Products
(3 results)