2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K00024
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
朝廣 雄一 九州産業大学, 理工学部, 教授 (40304761)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 / アルゴリズム / 計算複雑さ / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まず直径指定部分グラフ問題について研究した成果を,国際学術雑誌 The Review of Socionetwork Strategies 上で発表した.この問題においては,人的ネットワークをグラフ構造として捉える.すなわち,頂点を人,頂点間に存在する辺を友人関係であると理解する.こういった人的ネットワークに対応するグラフ中にある,例えば直径2のような(小さい直径の)部分グラフのうち最大のものを探すことが,本問題の目的である.ここで直径とは,部分グラフに属する人物間の距離の最大値を示している.ある人物が別の人物との距離が2であるということは,その人物とは友人の友人であり,将来的には直接の友人になることが期待できる近い距離にあることを示している.つまり,直径2の部分グラフを発見しておけば,将来的には直径1の部分グラフ(クリークと呼ばれる)に変化する可能性の高い部分を発見していることに対応する.この問題に対して,以前我々が開発した,理論的に高性能な近似アルゴリズムについて,実験的にその性能を検証し,他の手法と比較したというのが,本研究成果の概要である. また,他の問題として,グラフの辺を追加や削除するとともに,辺を有向化する問題について検討し,国際会議 13th International Workshop on Frontiers in Algorithmics において研究成果を公表した.この成果については,国内研究会である情報処理学会アルゴリズム研究会でも発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画の3年目であり,2年目までの研究活動を引継ぎ,着実に進展したと考えられる. 研究業績の面からは,直径指定部分グラフ問題に対する成果が,国際学術雑誌 The Review of Socionetwork Strategiesに掲載された.また,グラフ中から導出マッチングを求める問題に対する成果が,国際学術雑誌 IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Science に掲載された.その他の研究成果の公表状況として,グラフの辺を追加や削除するとともに辺を有向化する問題に対する成果を国際会議 13th International Workshop on Frontiers in Algorithmics で公表するとともに,共通部分文字列問題に対する成果も国際会議13th International Conference on Combinatorial Optimization and Applications で公表した.また,先に述べた導出マッチングを求める問題に対する成果については The 12th Annual Meeting of the Asian Association for Algorithms and Computation でも発表を行った.他に国内の学会・研究会において発表を4件行った. 以上のように,充分な質と量の業績を得られたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
マスコミに取り上げられるようなインパクトがありセンセーショナルな研究成果を目指すのではなく,研究活動に対して真摯に取り組み,学術の発展に微力ながら貢献するという意識でいることを心掛けたい.最終的には国際会議や国際学術雑誌で公表できるような質の高い研究成果をあげることが目標ではある.しかしながら,そう一足飛びにはいかないので,その前段階として国内の研究発表の場での,本研究課題の初期段階の成果の公表を心掛けたい.それにより他者からの意見や評価を取り入れることが出来ると思われるので,それらを踏まえて研究内容の質の向上を図りたい.具体的には,LAシンポジウム,情報処理学会アルゴリズム研究会,電子情報通信学会コンピューテーション研究会をターゲットとし,研究成果の公表を行う. 研究活動の一つの内容であるところの計算機実験を補助してもらえる人材が不足している.このため,初期段階のアイデアに対する計算機実験や,開発したアルゴリズムの実際的性能評価について十分に出来ていない.他研究室から補助してもらえる大学院生を募集することなども検討したいが,実装が容易でない部分も多くあるため,研究代表者の所属する組織で人材を確保できる見込みが小さい. また,世界的に蔓延するコロナウィルスが原因で,国内外の学術イベントが中止になることが多く起こっている.今後どのような状況になるかは分からないが,研究成果の公表機会がしばらくは少ないことが想像される.状況を注視しながら,研究成果を積み上げることを続け,可能となった時点で公表に努めたい.
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Causes of Carryover |
本研究で得た研究成果を公表するための1件の国外出張と,研究動向の調査のための2件の国内出張を3月に計画していた.しかし,コロナウィルスへの対策のため,学術イベントそのものが中止になったり,国外への渡航が困難になったため,それらのために支出する予定だった分の額が残った.コロナウィルス関係の状況が好転したら,研究成果の公表や研究動向の調査を実施するため,次年度使用額として残すこととした.ただし,状況が好転しない恐れもあり,その場合は,さらに翌年度に(特に研究成果の公表を)先送りしたい.
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[Journal Article] Graph Orientation with Edge Modifications2019
Author(s)
Yuichi Asahiro, Jesper Jansson, Eiji Miyano, Hirotaka Ono, Sandhya T.P
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Journal Title
Proc. 13th International Workshop on Frontiers in Algorithmics (FAW 2019), Lecture Notes in Computer Science
Volume: 11458
Pages: 38-50
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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