2018 Fiscal Year Research-status Report
非負システムにおける誘因シュタッケルベルグ戦略の新展開
Project/Area Number |
17K00034
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
向谷 博明 広島大学, 工学研究科, 教授 (70305788)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非負システム / ナッシュ均衡戦略 / パレート最適戦略 / H∞制御 / 分散制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
H∞ノルム制約をもつ大規模非線形非負システムのためのナッシュ均衡戦略問題を扱った.ここで,通常のナッシュ均衡戦略と異なり,評価関数における各プレーヤの制御入力に関する2次項の符号は負であることに注意が必要である.一方,モデルに現れる非線形項を線形化した後,線形時不変非負システムに関して,戦略が存在するための条件を導出した.特に,線形化によって生じる確定的モデル化誤差の影響を,H∞制御理論を適用して,外乱から制御量の影響を低減させることを提案した.このとき,従来結果である非負システムにおける有界実補題を適用し,H2/H∞制御の手法を適用したことは,新規な結果と考えられる.ナッシュ均衡戦略を構築するにあたり,初めに,状態フィードバック戦略を考えた.この問題に対して,閉ループナッシュ均衡戦略の存在を保証する条件を連立型リカッチ代数方程式の可解条件として確立した.さらに,これらの条件は,線形行列不等式の観点から再定式化を行った.後に,大規模システムである非負協調システムの平衡点の存在を保証する条件の導出を行った.一方,同様の問題に対して,開ループナッシュ均衡戦略の導出も行った.同時に,各プレーヤの協力が仮定される場合を想定し,パレート最適戦略の導出も行った.最後に,提案したナッシュ均衡戦略集合の存在性を説明するために,簡単なニューラルネットワークモデルを基盤とした数値例を対象に,ナッシュ均衡戦略およびパレート最適戦略の両方に対して,戦略集合を求め,シミュレーションによって有用性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形非負システムを対象に,階層誘因戦略の導出を最終目的としている.現在まで,単一層での非協力ゲームにおけるナッシュ均衡戦略,協力ゲームにおけるパレート最適戦略の導出を終え,線形行列不等式での条件に置き換えることに成功している.さらに,閉ループ・開ループ戦略の両方に対して,戦略を得るための条件の導出に成功してる.これらの条件は,H∞制約条件も取り入れており,ロバスト性を保証する点から,有用な結果である.ただし,開ループ戦略の場合,フィードバック制御と異なり,外乱に対してロバストでないため,有用性を適正に評価する必要がある.総合的な観点から,概ね研究計画通り進んでいると考えられる.数値シミュレーションに関しては,ニューラルネットワークモデルに基づくプラントに対して,戦略対を得ることに成功している.さらに,シミレーションによって,有用性が確認されている.これらの主要結果は,非負システムの編集本や国際会議に採択されている点から,新規な結果であると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,非線形非負システムに対して,H∞制御理論と動的ゲーム理論の両方の結果を基盤として,最終目標である階層型非協力問題を解くことを目的とする.特に,シュタッケルベルグ均衡戦略を実現する条件を定式化し,戦略を計算するための数値計算法の確立に重点を置く.さらに,有用性を示すために,ニューラルネットワークに限らず,実際の生態系非負システムを題材に,得られた結果が適用可能か.或は可解可能であるかシミュレーションによって判断を行う.階層戦略の導出が困難な場合は,線形非負システムに対して同様の問題の考察を行う.また,誘因シュタッケルベルグ問題への変更も検討を行う.最後に,確率系への拡張も検討を行う予定である.
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Research Products
(2 results)