2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00038
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
今堀 慎治 中央大学, 理工学部, 教授 (90396789)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数理情報 / アルゴリズム / 数理工学 / 組合せ最適化 / 配置問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
配置問題とは、いくつかの対象物を互いに重ならないように、与えられた領域内に配置する問題である。この問題は実社会に多くの応用を持つが、汎用的な最適化ツールでの解決は非常に困難と考えられている。このため、研究代表者らは、これまでに様々なバリエーションをもつ配置問題に対して、多くの実用的なアルゴリズムを提案してきた。 本研究課題では、配置問題に対する新たなアルゴリズムの設計を行うことと、配置問題に対する既存のアルゴリズムを、他の問題(異なる目的や制約条件を持つ配置問題や、配送計画、スケジューリングなどの組合せ最適化問題)に活用し、その方法論を確立することを目的として研究をすすめている(研究期間は平成29年度からの4年間である)。 平成29年度は、以下に示す2つの課題に対する効率的なアルゴリズムの設計を行った。1つ目の問題は、2次元の一般的な形状(多角形など)を配置する最適化問題であり、この問題に対して、図形をビットマップ(レクトリニア図形とも呼ばれる)で近似し、我々の提案したレクトリニア図形配置アルゴリズムを効果的に適用できるような種々の工夫を加えた新解法を提案した。2つ目の問題は、配置問題と強い関連をもつタイリング(同一形状の図形を重なりも隙間もなく配置する)問題であり、タイリング問題の1つであるエッシャー風タイリング問題に対して、計算の内部で生じる行列の疎性と類似性を利用した効率的なアルゴリズムの設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、配置問題に対する新たなアルゴリズムの設計を行うことと、配置問題に対する既存のアルゴリズムを、他の問題(異なる目的や制約条件を持つ配置問題や、配送計画、スケジューリングなどの組合せ最適化問題)に活用し、その方法論を確立することを目的として研究をすすめている。研究計画の初年度である平成29年度は、以下に示す2つの課題に対する効率的なアルゴリズムの設計を行った。 1つ目の問題は、2次元の一般的な形状(多角形など)を配置する最適化問題であり、この問題に対して、図形をビットマップ(レクトリニア図形とも呼ばれる)で近似し、我々の提案したレクトリニア図形配置アルゴリズムを効果的に適用できるような種々の工夫を加えた新解法を提案した。提案手法は図形の数が多い問題例に対して性能が良いことを示し、また図形の近似度合い(解像度)の違いによるアルゴリズムの計算量解析を行った。 2つ目の問題は、配置問題と強い関連をもつタイリング(同一形状の図形を重なりも隙間もなく配置する)問題であり、タイリング問題の1つであるエッシャー風タイリング問題に対して、計算の内部で生じる行列の疎性と類似性を利用した効率的なアルゴリズムの設計を行った。提案した方法により,計算量の理論オーダを改善することに成功し、数値実験による評価でも十分な効果があることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、配置アルゴリズムの開発と、配置アルゴリズムを核とした実用的最適化手法の開発を行う。平成30年度は主に以下の2つの課題に取り組む予定である。 1. 図形配置問題に対する数理計画法の活用 「研究実績の概要」でも述べた通り、汎用的な最適化ツール(その多くは数理計画法と分枝限定法による)での解決は非常に困難と考えられている。しかし、配置問題の部分問題に対して数理計画法を用いることで、全体として効率的なアルゴリズムの設計を行うことができると考えており、この種のアルゴリズムの設計を試みる。 2. 図形配置を含む配送計画問題に対するアルゴリズムの開発 配送計画問題は、荷物の集積所から各顧客に車両を使ってものを配送するときに、どの車両がどの顧客をどのような順番で回れば最も良いかを求める問題であり、実社会での多様なニーズから、非常に盛んに研究が行われてきた組合せ最適化問題である。従来の手法の多くは、車両に荷物を積み付ける部分を単純化して、荷物の体積の合計値で積み込み可能か否かを判断することが多かった。理由の一つは計算時間短縮のためであり、他の理由として、顧客割当、経路設計、荷物詰込の全てを考慮したアルゴリズム設計の困難さが挙げられる。この課題に対して、我々の提案した直方体配置アルゴリズムを核とした、メタ戦略に基づく配送計画アルゴリズムを設計し、実社会に現れる問題例に対する性能評価を行う。 なお、これら2つの課題以外にも取り組むべき課題があり、来年度以降に取り組みたいと考えている。上記の進捗状況によって、可能であれば今年度中に予備検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究課題と関連のある(以前に実施した)研究課題(科研費 基盤研究(C) 「配置問題に対する高性能アルゴリズムの開発とその応用」)について、2017年度に期間延長で(本研究課題と並行して)実施した。この課題の助成金を利用したことにより、本課題での使用額が予定より少なくなった。 残額については、次年度使用額として2018年度に活用をしたい。具体的には、本研究課題においては、アルゴリズムの開発、プログラムの実装、数値実験による検証の各場面において計算機が必要なため、計算機の購入を行うことと、国内外の会議で研究成果を発表するために使用する。
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Research Products
(3 results)