2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of practical combinatorial optimization algorithms by speeding up the continuous relaxation method
Project/Area Number |
17K00040
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福永 拓郎 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (60452314)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 相関クラスタリング / 劣モジュラ最大化 / 予算割り当て問題 / 近似アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,産業分野から人工知能技術まで多様な場面で現れる組合せ最適化問題に対して,連続緩和法に基づいた実用的な高性能アルゴリズムを開発することである.H29年度には,以下に挙げるように,様々な組合せ最適化問題について緩和問題の定式化を工夫し新たなアルゴリズムを与えることに取り組んだ. 1. ハイパーグラフ上での相関クラスタリング問題:相関クラスタリングは各データの相関関係から適切なクラスタリングを求める組合せ最適化問題である.通常は二つのデータ間の関係から定義された辺ラベル付き無向グラフ上で問題が定義されるが,より多くのデータ間の関係性を問題に取り組むことで質の高いクラスタリングを得ることができることが期待できる.このことから本研究ではハイパーグラフ上の相関クラスタリングを定義し,連続緩和に基づく近似アルゴリズムを与えた. 2. 確率的なナップサック制約下での劣モジュラ最大化問題:ナップサック制約下での単調劣モジュラ関数最大化問題は様々な応用があり広く研究されているが,本研究ではナップサックの容量が確率的に与えられているときにアイテムを順番に選択する設定において,達成される単調劣モジュラ関数の値の期待値を最大化する問題を考え,連続緩和法に基づく近似アルゴリズムを与えた.また関連問題として,ナップサック容量は一定だが,アイテムのサイズや目的関数への貢献が確率的に決まる問題についても,連続緩和法に基づく新たな適応的最適化アルゴリズムを与えた. 3. 一般化予算割り当て問題:二部グラフ上での予算割り当て問題は,各広告主が予算上限を持つときに,消費される予算が最大化されるようユーザへ広告を割り当てる最適化問題である.本研究ではこの問題を,ユーザが許容する広告の長さの上限を持つように一般化し,連続緩和法に基づくアルゴリズムを与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な組合せ最適化問題について,連続緩和法を利用して新たな近似アルゴリズムを与えることに成功した.また,得られたアルゴリズムのうち,ハイパーグラフ上での相関クラスタリングと,アイテムのサイズや目的関数への貢献が確率的に決まる劣モジュラ最大化問題に対するアルゴリズムについては,実際に実装し実性能の検証を行った.中規模のサイズの問題であれば実用に耐えられるが,大規模な問題に対しては高速化が必要であることを確認すると同時に,より実用的なアルゴリズムを得るための課題を特定した.このように,新たな研究成果が得られていると同時に,今後の課題の特定も進んでおり,本研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度と同様に,様々な組合せ最適化問題に対して連続緩和法を適用することで新たな近似アルゴリズムの開発を試みる.同時に,これまで得られたアルゴリズムをより実用的なものとするための研究についても取り組む.特に劣モジュラ最大化問題に対するアルゴリズムは連続緩和を解く際のアルゴリズムが重いという欠点があるが,機械学習分野を初めとして様々な領域に応用を持つために高速化のメリットが大きい.本研究でも重点的に取り組んでいきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
論文投稿スケジュールの変更により旅費の使用が見積もりより少なく,未使用額が発生した.未使用分はH30年度に旅費として使用する.
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