2017 Fiscal Year Research-status Report
がん分子標的薬の長期毒性データに基づく新規ベイズ流用量探索デザインの研究開発
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17K00045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 晃弘 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (90609330)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 用量探索デザイン / がん臨床試験 / 分子標的薬 / ベイズ統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、米国National Cancer Insititute (NCI)の生物統計家等と共同して、分子標的薬の有害事象の発現状況を調査し、論文発表した。本研究からは、第1サイクル目以降もグレード3以上の毒性が一定の頻度で発現していることが分かり、本研究の目的である長期毒性を考慮した用量探索法の必要性が実データに基づいて裏付けられた。また、NCIの生物統計家等とは、細胞障害薬,分子標的薬、免疫治療,及びこれらの併用療法における毒性プロファイルを分析する研究を新たに進めている。現在、約4万例の毒性データを解析中である。
他方で、分子標的薬のための用量探索法として、新規の用量探索法をいくつか開発しており、それぞれ論文投稿中(又は論文執筆中)である。代表的なものとしては、Bayesian Lassoを用いた用量探索法である。この方法は、有効性と毒性を同時評価し、遺伝子プロファイル別に推奨用量を同定する。既存方法よりも性能が優れていることがシミュレーション実験により示され、当該研究領域に新たな方法論を提供できると考えている。
また、NCIとの共同研究の結果、Reative dose intensity (RDI)が、がん第I相試験の新たな評価項目として有用である可能性が示唆された。この結果を踏まえて、既存の3+3デザインにRDI評価を組み込む方法や、RDIを指標とした用量探索デザインを新たに開発し、現在、論文にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん分子標的薬の長期毒性データを考慮した用量探索法を複数提案し、現在、論文投稿中であり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
がんゲノム医療の急速な進展により、がん臨床試験のデザインにも新しい概念が提唱されはじめた。マスタープロトコル試験と呼ばれる新たな臨床試験方法論では、遺伝的特徴が異なる複数の部分集団が混在する早期臨床試験を扱うことになり、当該試験に適したデザインの開発が求められている。本研究では、分子標的薬の用量探索法の研究に加えて、このような異質集団に対する早期臨床試験デザインの研究開発も同時に進めることとする。
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Causes of Carryover |
2017年度は、NCIの研究者との打ち合わせのための米国出張することなく研究を進めることができたため、当該助成金が生じた。2018年又は2019年度に訪問して、研究を円滑に進める予定である。また、研究内容を拡大したために、こちらの研究を進めるための学会参加や海外研究者へのインタビューなどの経費に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)