2017 Fiscal Year Research-status Report
空間医学データにおける統計的複数クラスタ検出法の開発と実践
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17K00046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 邦彦 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50323259)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空間疫学 / スキャン統計量 / 多重検定 / 医学データ |
Outline of Annual Research Achievements |
位置情報が付加された空間医学データを用いて,注目する疾病発生と関連が強い位置・領域を探し出し,その関連の有意性を判定する統計的クラスタ検出法が提案され,様々な分野で実践され重要なツールになってきている。しかし従来の代表的な方法では,単一クラスタの存在を仮定したモデルで議論されているため,複数クラスタの検出とその全体としての有意性評価については整理されていない。本研究では医学分野における統計的クラスタ検出における複数クラスタモデルの定式化と,その評価について新たな方法論の提案を目指す。さらに空間疫学研究や脳画像解析研究の実データを用いて,実践的な実証研究を併せて行う。 本年度は空間疫学における時間集積性の検定での複数クラスタ検出法の理論の基本的な構築に焦点をあてて研究を行った。特に時間集積性の検出の状況のもとで,従来のスキャン統計量に基づくクラスタ検出法を拡張し,一般化線形モデルの枠組みを用いた複数クラスタモデルを検討した。その上で,最適なクラスタ数を選択するための規準指標を提案した。これによって複数クラスタの包括的な有意性を評価できるようになった。シミュレーション評価とともに,実際の救急搬送データに適用し,従来法による結果との比較を行ったところ,提案法が複数クラスタを精度よく検出できた。これらの結果については現在,学術専門誌に投稿中である。 さらに,集積性の検定においてスキャン統計量に基づく多重性を調整したp値を求めるアルゴリズムの理論,また空間疫学に関連する実践的研究についても共同研究も実施し,いくつかの成果も挙げられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラスタ検出のための検定における多重性調整に関する研究,および医学の実践研究における研究成果を投稿し受理された。さらに複数クラスタ検出の評価法に関する論文も投稿中であり,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
時間集積性を事例として提案した複数クラスタの方法を,空間集積性へ拡張し,その評価を検討する。さらに関連する医学・疫学研究の実践研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
支出予定であった論文投稿費,論文掲載料の支払いが次年度になった。また海外研究者との研究打合せが先方との都合があわず次年度に繰り越された。これらは次年度に支払・実施される予定である。
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