2018 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to design of experiments by computational algebraic methods
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17K00048
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 敏 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90332618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 計算代数統計 / 一部実施計画 / グレブナー基底 / 指示関数 / 直交計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
統計的実験計画法において、様々な因子の水準設定の応答への影響に関心がある状況を考える。多因子実験では、各因子の水準数が少なくても、その組合せの数は膨大となり、すべての水準の組合せに対する実験が困難となり、因子の水準組合せの一部を取り出す一部実施計画が必要となる。その際、どのような一部実施計画を選択するかが重要となる。一部実施計画の理論は、1960年代以降、分解能などの性質に基づく様々な研究があり、現在では、統計的品質管理の枠組みにおいて、直交表に基づくシステマティックな手法が広く普及している。これは実用上有用であるが、実験回数が制限される(例えば2水準計画であれば、実験回数は2のべき乗に制限される)という欠点がある。 一部実施計画を代数的に扱う試みは、1996年のPistoneとWynnの論文による、実験点を零点集合とする多項式環のイデアル(計画イデアル)による定式化が発端となった。2000年には、Fontanaらが、2水準計画に対して、計画の指示関数を提案し、その性質を報告した。指示関数は計画と1対1に対応し、従来の一部実施計画に関する様々な概念は、対応する指示関数の性質として、代数的な扱いが可能となる。一方で、Fontana らの結果は、2水準因子のみの場合に限定されており、水準数が一般の場合について、対応する指示関数の性質は明らかにされていなかった。 本年、研究代表者は、水準数が一般の場合について、その指示関数の構造、特に、任意の強度を持つ直交計画と対応する指示関数の係数の関係について明らかにした。さらに、この結果に基づく、指示関数の新たな表現(対比表現)を提案した。対比表現は、水準の取り方によらず、直交性を読み取りやすい表現であるという特徴を持つ。応用例として、水準数が2と3の5因子計画について、与えられた直交性をもつ一部実施計画を代数ソフトウェアにより列挙した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般の水準の一部実施計画の構造に関する、本質的な成果が得られ、論文も採択されたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年得られた結果は、与えられた直交性をもつ一部実施計画の構造に関する理論的な結果である。この結果を利用した応用研究として、実際に与えられた因子数、水準数についての、代数計算ソフトウェアを利用した計画の列挙の問題がある。本年は、グレブナー基底の計算に基づく方針でこの問題に取り組んだが、因子数、水準数を増やした場合の計算量的な困難が問題となった。これに対し、与えられたイデアルの準素イデアル分解や、イデアル商を利用する、計算代数幾何的手法が有用と考えており、現在、研究を進めている。
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Causes of Carryover |
数千円を次年度に繰り越すことになったが、少額であるため、使用計画への影響はほとんどないと判断し、当初の計画の通り予算を執行する予定である。
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