2020 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to design of experiments by computational algebraic methods
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17K00048
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 敏 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90332618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グレブナー基底 / 実験計画法 / イデアル / 多項式環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に関連し、昨年度から引き続き以下のテーマに関する研究を行った。 (1) 計画上で観測されるデータに対する統計モデルとして、応用統計学では従来、分散分析モデルを考えることが標準的であった。一方、計算代数統計では、応答空間の任意の関数が多項式により表現できることに注目し、多項式モデルを考えて、多項式環のグレブナー基底の理論を利用するという手法をとる。両者の関係は、2水準計画では同値性が自明であるが、一般的な多水準計画では明らかにされていなかった。本研究では、この、計画上の多項式モデルと分散分析モデルの関係について、代数的識別可能性に基づく特徴づけを行った。これにより、分散分析モデルを一般的な設定で考えるための基本的な考え方が整備できた。これらの結果をまとめた論文を投稿、出版した(今井大樹氏との共同研究)。 (2) 一般の設定において、一部実施計画の性質(任意の強度の直交性)を、対応する指示関数の係数が満たす制約式(イデアル)で表現する、という方法論を、2019年の論文において提案し、その適用例を発表した。しかしその方法論は、考える計画のサイズが大きくなると計算量の問題が生じ、例えば2x2x2x2x3計画のすべての直交計画の列挙については実行できなかった。本年は、立教大学の野呂正行教授との共同研究により、準素イデアル分解に基づく計算アルゴリズムを提案、実装し、この列挙が可能であることを確認した。さらに大きなサイズに関する問題についても、引き続き取り組んでおり、この手法の限界を明らかにしたところで、来年度中に論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から取り組んでいた2つの問題のうち、一つが解決して論文発表に結びつき、もう一つも進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
立教大学の野呂先生との共同研究を引き続き進め、準素イデアル分解を利用した一部実施計画の列挙の手法の実現可能なサイズを明らかにし、論文として発表する。また、直交性だけでなく、同手法を様々な最適計画の問題にも適用する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定されていた国際会議での招待講演が無くなり、その旅費の使用分が無くなった。他にも、国内外の学会、研究会がほぼ全てオンライン参加となったため、旅費の使用計画を大幅に変更する必要が生じた。次年度以降も暫くは同様の状況が予想されるため、遠隔での学会や研究会に参加するための計算機環境の整備に使用する予定である。
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