2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K00056
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
西山 貴弘 専修大学, 経営学部, 准教授 (30516472)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 仮説検定 / 漸近理論 / 多重比較 / 高次元データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,様々な状況の下で統計的仮説検定問題についての理論と方法論の開発を行うことを目的とし,その有用性・実用性について研究を行った.近年の情報化の進展に伴い,多種多様なデータに対する統計解析手法の開発は重要であり,この問題に関連して本年度は以下の点について研究成果を得ることができた. 1.高次元データに対する独立性検定問題について議論を行った.具体的には,高次元の場合に対応したRV係数に基づいた検定統計量を提案し,正規性の下でいくつかの高次元枠組みの下でその近似分布を導出した.さらに検出力について議論を行い,提案統計量の有用性を確認することに成功した.また,この検定方式を用いて,どの確率ベクトル間に相関が生じているかを検出するための多重対比較法を提案した.これらの結果については,2018年5月に開催された日本計算機統計学会,2018年12月に開催された国際会議において口頭発表を行い,現在投稿中である. 2.上記1に関連して,非正規性の下でも同様な議論を行い,高次元データにおける無相関性の検定に対する検定方式の提案をした.この結果については,2018年9月に開催された統計関連学会連合大会において口頭発表を行い,現在投稿準備中である. 3.欠測データ解析に関連して,欠測が生じている2×2分割表に対する対称性の仮説検定問題を議論した.ここでは,特に欠測メカニズムがMNAR (Missing not at random) の場合を取り扱い,グラフィカルモデルに対する適合度検定を考え,その下で対称性の検定を行う方法論を提案した.この結果については,2018年9月に開催された統計関連学会連合大会において口頭発表を行い,現在投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した,高次元枠組みにおける検定問題についてはある程度計画通り進み,順調に研究成果を得ることができた.しかしながら,ノンパラメトリックな場合における平均ベクトル間の多変量多重比較法についてはまだ研究途中であり,来年度の研究課題である.さらに,関連する問題として高次元データに対する共分散構造に関する検定問題に対してもいくつかの研究成果を得ることができているが,来年度も派生する問題について引き続き研究を行っていく.また、欠測が生じている分割表に対する仮説検定問題についても今年度得られた研究成果に基づいて,関連する問題について引き続き研究を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるので,研究課題の申請において挙げた,高次元枠組みにおける各母集団の分散共分散行列が異なる場合の平均ベクトル間の多重比較法の提案について取り組んでいく.次に,ノンパラメトリックな場合における多変量多重比較法の開発を試みる.さらに並行して,平成30年度に得られた2つの結果(高次元データに対する無相関性の検定,欠測が生じている2×2分割表に対する対称性の仮説検定)についての研究成果をまとめるとともに,学術雑誌に投稿する.また,関連する問題である高次元枠組みの下での共分散構造の検定に対しても議論を行う. 次年度の予定としては,2019年8月に開催される国際会議,および2019年9月に開催される統計関連学会連合大会において研究成果の発表を予定している.この他にも関連する国内会議や国際会議にも参加し,最新の研究成果や研究動向について調査し,多くの研究者と積極的に情報交換を行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
平成30年度は,昨年度からの繰越金を加えて直接経費約110万円のところ、約80万円の支出となり,次年度繰越金は約30万円となった.これは当初購入を予定していたPCが生産終了となってしまい,購入を次年度に先送りしたためである. 令和元年度の研究費の使用内訳としては,物品費(消耗品費)を計上し,また,研究成果の発表や情報収集のために,国内の学会(統計関連学会連合大会(9月),日本数学会(9月))や国際会議(SimStat(9月),CMStatistics(12月))などに参加するための旅費を計上する予定である.さらに,研究課題におけるシミュレーションなどを円滑に実行するために,高性能なPCや数式処理ソフトの購入費を計上する予定である. 以上の経費を翌年度に請求する研究費と合わせて使用する計画である.
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