2017 Fiscal Year Research-status Report
Statistical Thinking Skill Developments For Big Data Era
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17K00059
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山口 和範 立教大学, 経営学部, 教授 (60230348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統計教育 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代中旬以降、初等中等教育から高等教育に至るまで、海外での統計教育再編の動きが活発化している。その背景には、国家的に推進される科学技術振興政策があるが、これが諸外国の学校教育の中で、統計教育の方法論に対して新しい枠組み“Statistical Thinkingの育成”という柱をもたらした主因である。先進各国は、人材や技術など「知の創造」をめぐる大競争時代に突入し、世界全体での持続的発展や自国の産業競争力の国際的優位性の獲得を目指して、科学技術・学術研究の戦略的な推進政策を推し進めている。とくに、1998年、全米研究会議が通称オドム・レポートを取りまとめ、数学と他分野および産業との連携の重要性を指摘して以降、米国科学財団(NSF)は、重点領域に数理科学を採用し、その中での重要テーマとして、「巨大データに関する数学的・統計的挑戦」、「不確実性の管理とモデリング」、「複雑な非線形システムのモデリング」を挙げた。このような振興政策を支える人材の育成のため、NSFが重点領域に数理科学を採用した時点でその具体的な目標として、「数学および統計学の基盤研究の推進」「 他の自然科学・工学との協働研究の推進」、「学校教育における数理科学教育の推進」が掲げられているが、3点目の数理科学教育が、学校教育における主に、数学や理科の中に反映され、前者2項との連動性から、数学や理科教育の中で統計教育の比重が増している。さらに、人工知能の発展と実用化には、データ駆動科学の発展があり、その理解を深める教育が今も求められている。平成29年度は、新たな時代の統計教育の在り方を議論するとともに、具体的な教育内容の検討と教材開発を行った。その成果の一部は、2018年1月に開催された統計教育に関する国際研究集会で発表済みであり、2018年7月に開催される統計教育の国際会議ICOTS10でも論文発表を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、研究計画調書にある①「国内海外の学習コンテンツや教育事例の収集とその評価研究」として、国内海外を問わず統計や社会調査にかかわる教材や学習コンテンツと教育プログラムや教育事例の収集を行った。また、②「統計及び社会調査学習のためのe-learning教材の開発・改善とブレンド型教育方法の研究」としての、立教大学社会情報教育研究センターにおいて以前に開発し2010年度から全学共通カリキュラムの正規科目として開講している「データ分析入門」、「データの科学」について、ステージ①で得られた情報を加味しながら、教材評価を行い、その改修を行った。また、e-learning用として開発された教材を対面講義の中で有効に活用する方法の検討とその効果について検証を行った。さらに、ビッグデータ時代に求められる新たなスキルや思考力養成のためのコンテンツ提供が肝要となるため、その内容を検討した。3つめの③「コンピテンシー型学習成果評価方法の研究」においても、どのような教材で統計を学習し、どのような練習問題に取り組んだかという通常のポートフォリオに加え、具体的なデータ分析の実習の記録に重点をおくシステムの開発をスタートさせた。このシステムを使用することで、統計における専門的な概念を学生がいかなるプロセスで身につけるかが明確となる。このシステムで蓄積された情報は、一般的に設定された学習成果を実現するために必要な教材や教育方法を検討するための基礎資料となり、ステージ②での教材開発とその改善、および、教育方法の開発の検討の際に活用する予定である。よって、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究成果をもとに、研究計画調書にある③「コンピテンシー型学習成果評価方法の研究」の推進を継続するとともに、教材等の評価を継続し、必要な改良を行う。また、今年度日本で開催される統計教育の国際会議ICOTS10に参加する国内外の統計教育の研究者との交流を深め、目標の達成に全力で臨む。
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Causes of Carryover |
資料の整備などの人件費が平成30年度に使用予定となったため、平成30年度に使用する。
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Research Products
(1 results)