2018 Fiscal Year Research-status Report
IoT機器向き低消費電力量情報センシングに関する研究
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17K00077
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
武内 良典 近畿大学, 理工学部, 教授 (70242245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 載勲 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70726976)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | データ圧縮手法 / 情報センシングデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
IoT時代にはセンシングデバイスにより様々なデータが取得され、それらデータがクラウド上へと集積され、ビッグデータを構築する。このような時代には、あらゆる情報の効率的な取得とともに、情報取得に係る消費電力量を減らすことが必須であり。本研究では、情報を構築する取得データに適したデータ圧縮処理をセンシングデバイス内で行うことにより、無線通信時に消費されるエネルギーを削減すると同時に、圧縮処理自身で必要とされる消費エネルギーを削減することを検討している。これまでに、センシング対象の生体データ心電(ECG)についてその圧縮手法の検討と、生体情報センシングデバイス・プラットフォームの策定を進めている。圧縮手法としては、心電データの波形そのものに着目し、心電データを窓関数により切り出し、切り出されたデータを代表する形に分類する自動クラスタ分割手法を採用し、これまでに提案されてきた圧縮法とほぼ同程度の圧縮率を示すことが分かった。また、RISC-Vをそのプラットフォームとして検討し、RISC-Vが命令拡張の仕組みが整っていると同時に、ソフトウェア環境が整備されており、RISC-Vをベースとして情報センシングデバイス・プラットフォームとして適当であるとの知見を得ている。しかしながら、RISC-Vの命令を拡張し、アプリケーションに適した命令セットのプロセッサにすることは必ずしも容易ではないため、RISC-Vのハードウェア、ソフトウェアを効率良く生成するための研究も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、生体データの性質の解析、オンライン生体データ圧縮アルゴリズムの開発、情報センシングデバイスのプラットフォームの策定、生体情報センシングシステムの消費電力量最適化を行うことが目標である。平成30年度は、この中の生体データの性質の解析および情報センシングデバイスのプラットフォームの検討を進めた。H29年度に提案した新たな心電データ圧縮手法の評価を進めた。具体的には、PhysionetからMIT-BIH Arrhythmiaの波形データを取得し、そのデータについての解析を進めた。これまで、心電データは形状から、周期性を活かした圧縮手法、Wavelet変換を行い周波数成分により共通的な性質を見出して圧縮を行う手法が提案されていたが、本研究では、心電データの波形そのものに着目し、心電データを窓関数により切り出し、切り出されたデータを代表する形に分類する自動クラスタ分割手法を用いた圧縮手法を検討している。また、プラットフォームとしては、命令拡張ができ、同時にIoT機器で使用できる規模のプロセッサを使用することが重要であるため、RISC-Vをそのプラットフォームとして検討を続けている。RISC-Vは命令拡張の仕組みが整っていると同時に、ソフトウェア環境が整備されている。しかしながら、RISC-Vにおいて、ターゲットアプリケーションに適した命令拡張を行うことは、必ずしも容易ではないため、RISC-Bの命令拡張を自由に行える環境の構築を進めた。 生体データの圧縮手法は予定どおり進んでおり、プラットフォームの構築は、拡張命令の選定と全体の消費電力のモデル化が遅れている。しかしながら、全体としてはおおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、平成30年度までに研究を行った生体データ圧縮アルゴリズムをプラットフォーム上で評価を行えるようにすることと、その評価を行い、目標に対して十分な結果が得られるかを確認する。もし圧縮率、圧縮精度等が不十分である場合には、圧縮のための新たなパラメタ(圧縮手法)を検討する。また、提案する圧縮アルゴリズムを策定した情報センシングプラットフォーム上で動作させたときのシステムの消費電力量を試算するためのモデルを策定する。その後、ターゲットアルゴリズムを提案プラットフォーム上で動作させ、データを無線通信により伝送した場合に消費される電力が見積もり可能な環境を構築する。もし、性能が不十分である場合には、プロセッサに実装すべき拡張命令を再度検討するとともに、圧縮処理の実装方式の改善を行う。さらに、生体データ圧縮アルゴリズム、実行プラットフォームの双方からの改良をすすめる。
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Research Products
(1 results)