2017 Fiscal Year Research-status Report
最先端LSIの電源供給信号線の欠陥に対するテスト・診断手法に関する研究
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17K00081
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮瀬 紘平 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (30452824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | LSIテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
LSIの微細化により欠陥の起こるメカニズムは非常に複雑化し、欠陥回路のテスト・診断が非常に難しくなってきている。微細化が進むにつれ、電源供給信号線の欠陥がスタンダードセル(NAND、AND等のセル)に対する電源供給に与える影響が大きくなると考えられる。本研究では、電源供給信号線上の欠陥をテスト・診断する手法に関する研究を実施している。 (1)電源供給信号線上の欠陥データ作成(平成29年4月~平成29年6月):近年問題となっている消費電力増加に起因する欠陥を、電源信号線上の欠陥に絞り、欠陥のある回路を意図的に設計した。 (2)電力・遅延解析による欠陥の顕在化検証(平成29年6月~平成29年9月):作成した欠陥回路に対して、論理シミュレーション、電力解析、IR-drop解析を行い、正常回路と比較して欠陥の影響が顕在化するかを検証した。現在の研究教育用であれば低価格で利用できる古い設計環境では、欠陥による電力への影響は非常に小さい。ここで得られた結果を用いて、最先端LSIでの欠陥の影響をどのように見積もるかが重要となる。 (3)電源供給信号線上の欠陥よる影響範囲の特定(平成29年9月~平成29年12月):現在の設計環境では、現在想定している欠陥による論理的・電力的な影響範囲は非常に限定的である。最先端LSIの設計環境で論理的・電力的な影響がでるか見積もることが必要である。 (4)欠陥の影響による遅延値の増加率測定(平成29年12月~平成30年3月):(2)、(3)で述べた通り、現在の設計環境では欠陥による電力的な影響が小さく、遅延値の増加は見られていない。(2)、(3)と同様、最先端LSIの設計環境での遅延値を見積もる技術が必要になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究における実験環境の実装や実験およびデータ収集に関してはおおむね順調である。しかし予想を下回る結果を得られたものもあり、今後の研究でのフォローが必要と考えられる。下記に各項目の進捗状況を述べる。 (1)電源供給信号線上の欠陥データ作成:電源信号線上の欠陥に絞り、欠陥のある回路を意図的に設計し、問題なくシミュレーションが可能となっている。ただし、欠陥の大きさによって欠陥の影響が異なるため、現在の研究教育用であれば低価格で使用できる古い設計環境で最先端LSIの設計環境を見積もるためにどのような欠陥を想定すべきかを再考慮する必要がある。 (2)電力・遅延解析による欠陥の顕在化検証: 電力解析による欠陥の顕在化検証環境は問題なく実装することができた。しかし、現在の利用可能な古い設計環境では、欠陥による電力への影響は非常に小さいことが判明している。 (3)電源供給信号線上の欠陥よる影響範囲の特定:これまでに設計した欠陥を含む回路に対して、シミュレーションを実行し欠陥の影響範囲を調査する実験環境を実装済みである。しかし、現在の設計環境では、現在想定している欠陥による論理的・電力的な影響範囲は非常に限定的であった。現在の研究機関での設計環境を用いて、最先端LSIの設計環境での論理的・電力的な影響を見積もる技術が必要になる。 (4)欠陥の影響による遅延値の増加率測定:(2)、(3)と同様、最先端LSIの設計環境での遅延値を見積もる技術が必要になる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究は、下記の通り予定に加えて、現在の研究機関において使用可能な設計環境を用いて、想定している欠陥の最先端LSIの設計環境における電力的・論理的な影響を見積る技術の研究開発を実施する。 (1) 最先端LSI設計環境における欠陥の影響範囲の見積り(平成30年4月~平成30年12月):最先端LSI設計環境において、本研究で想定する欠陥の影響を見積る技術を研究開発する。 (2)欠陥検出シミュレータ(平成30年6月~平成30年9月):本研究で想定している欠陥が、あるテスト入力を与えたときに検出可能か判定できるシミュレータを実装する。 (3)欠陥を検出するテスト入力生成(平成30年9月~平成30年12月):欠陥の検出条件を満たすテスト入力を生成する。テスト入力最適化技術を用いて、検出率の最大化・データ量の最小化を行う。 (4)生成したテスト入力に対する電力解析・遅延解析(平成30年12月~平成31年3月): 生成した入力に対する電力・遅延解析を行い、欠陥の影響に関するデータベースを更新する。
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Causes of Carryover |
科研費交付決定後に、所属研究機関にて平成29年度のみ利用可能なワークステーション購入のための予算がついた。そのため平成29年の本科研費予算の物品費を削減することができ、次年度の国際会議などの旅費として使用するために予算を残し、次年度使用額が生じた。
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