2017 Fiscal Year Research-status Report
2次元反辞書を用いたセンサネットワークにおけるノードの配置支援
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17K00147
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Research Institution | Nagano Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田 隆博 長野県工科短期大学校, 情報技術科, 准教授 (60579001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞田 亜紀子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (20631138)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報理論 / データ圧縮 / 制約符号 / 反辞書 / ユニバーサル符号 / 部分列数え上げ / 木構造 / 2次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
センサーネットワークにおいては,センサ間の電波干渉や減衰による通信不良を低減するために,与えられた2次元制約(例えば任意の2つのセンサ間の距離が1メートル以上10メートル以下である)を満たすような配置パターンの生成方法とパターンの保存のために符号化(圧縮)が求められる.本研究では,2次元制約パターンを2次元禁止配列と呼び,任意の2次元禁止配列を部分配列として含まないパターンを2次元許可配列と呼ぶ. 与えられた2次元禁止配列の集まりに対する2次元許可配列の生成方法に関しては,2次元禁止配列と2次元許可配列をノードに関連付けした木構造を用いて,逐次的に2次元許可配列を列挙する手法を新規開発し,実装・実験評価を行った.この手法は,2次元入力配列から2次元極小禁止配列の集まり(反辞書)を生成する手法をベースに開発を行った.実験から,与えられたサイズの2次元許可配列をすべて列挙することが確認できた. また,与えられた2次元許可配列の効率的な圧縮手法に関しては,サイズが十分大きければ,理論上の最良の圧縮サイズまで圧縮可能な手法を新規考案した.この手法を開発するために,まず1次元入力記号列の反辞書を記号列長が十分長ければ,理論上の最良の圧縮サイズまで圧縮可能な手法を新規考案し,それをベースに2次元への拡張を行った.一方,提案手法は単純な実装が難しいため,簡単な実装手法の考案のために,2次元許可配列の行数を固定した場合の実装手法の新規開発と圧縮率改善の予備的考察を行った. 以上のほかに,反辞書を用いたデータ圧縮法と深い関連のある部分列数え上げデータ圧縮法の改良も併せて行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核となる手法は二つあり,一つは与えられた2次元禁止配列に対する2次元許可配列の構築手法の考案であり,もう一つは2次元許可配列を理論上の最良サイズまで圧縮できるデータ圧縮手法の考案である.構築手法については,2次元の反辞書構築手法をベースとして,列挙手法の新規考案および実験を行っており,ほぼ計画通りの進捗となっている.また,データ圧縮手法については,計画以上の進展があり,理論上の最良サイズまで圧縮可能なデータ圧縮手法が考案できている.一方で,データ圧縮手法に関しては,ベースとしている1次元データに対する従来手法(反辞書符号化法と部分列数え上げ符号化法)には,実装に関して改善すべき課題が多くあることが,本研究を進める過程でわかった.このため,現在は,本研究で明らかとなった1次元の従来手法の課題に関して,改善手法の考案とその性能評価のための予備実験を行っている.1次元の従来手法に関しては,本研究により理論的な限界を達成する圧縮手法の考案などいくつかの成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
2次元許可配列の構築に関しては,列挙手法では計算時間や使用メモリ量が列挙数に比例するため,与えられた禁止配列によっては,列挙数が非常に多くなる(指数オーダになる)問題点がある.実用上では,すべての許可配列を列挙しなくても,限られた個数の許可配列が得られればよい場合があるので,今後の課題として,計算時間や使用メモリ量を低減した構築手法の考案を行う.また,データ圧縮手法に関しては,実装・実験を行うためには,1次元の従来手法を十分に拡張・改善する必要があること29年度の研究課程で明らかになったので,それらを行ったうえで,2次元の手法への実装および実験評価を行う.
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Causes of Carryover |
計算機実験用のPC購入に充当したが,今年度の実験においては,実験データや実験プログラムの規模が記憶装置や使用メモリ量が最大搭載量に達しなくとも可能であったため,実験状況によって適切に増設できるように執行したためである.
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Research Products
(5 results)