2017 Fiscal Year Research-status Report
脳機能・生理的計測による高精細映像の革新的QoE分析・評価システムの開発
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17K00154
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀田 裕弘 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (80209303)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 画質評価 / 生体情報 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
◎NAPS Database(静止画像)から選定したhappiness画像とdisgust画像をOLED(1600×1200)に表示し、NIRSを用いた脳血流の計測実験と快・不快のアンケートを行った。 〇画像観察時に変動した脳血流と嗜好の関連性:観察時から5~10秒間のΔOxyHbの傾きと切片、最大値と最小値とその時刻を6つの特徴量とし、一元配置分散分析により有意差のあるチャンネルを調べ、チャンネル毎のΔOxy-Hbと主観評価値の関連性を調査した。重回帰分析を行い、被験者の主観評価値の予測値を「すべての静止画像」や「カテゴリ毎の静止画像」、「カテゴリが好きな/嫌いな静止画像」で求め検討した。結果、ch.4で測定したΔOxy-Hbの変化と主観評価値の関係は、happiness画像の観察時は主観評価値は高くΔOxy-Hbは減少し、またdisgust画像の観察時は主観評価値は低くΔOxy-Hbは上昇傾向が見られた。 〇同時・異時測定時のペア間の脳血流への影響の調査:被験者二人をペアとして、同時測定と異時測定を行った。同一被験者の1回目と2回目のΔOxy-Hbの傾きの相関関係及び、同時測定時、異時測定時のペア間のΔOxy-Hbの傾きの相関関係を求めた。結果から、個人間の計測データは時間に影響されず、被験者二人による同時測定をした場合でも測定データに影響ないことが分かった。 ◎OLED(3840 × 2160)とLCD(3840 × 2160)に選定した30枚の静止画像を表示し、NIRSを用いた脳血流の計測実験と快不快のアンケートを行った。 〇異なるディスプレイを使用した時の嗜好への影響の検討:画像観察時から5~10秒間のOxyHbの傾きSlopeimgを単回帰分析によって求め、チャンネル毎にt検定を行った。結果、被験者のほとんどは主観評価、脳血流の変化共に有意差が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
◎平成29年度の研究計画で実施予定の以下の内容について予定通り実施されており、その成果も見られ、研究成果は直近の国際会議で研究発表を行った。具体的には、① 「嗜好」に関連性がある国際的に利用されているデータベースを用いて、この評価用コンテンツを観察した際の脳機能計測(NIRS)を被験者2名同時に計測することを実施した。② 同一コンテンツに対してアンケートベースの数値や評価語による官能評価も同時に行った。③ 被験者2名を同時計測することで同一評価条件下での脳機能の個人間ばらつきの程度を統計的な観点から精査する。(計測データの多様性)④ 同一被験者に対して一定期間(1週間~1カ月)をおいて同一の主観評価実験を複数回(実際には2回)行うことで個人内ばらつきの程度を統計的な観点から精査する。(計測データの再現性)を着実に実施した。 ◎今年度導入したNIRSの計測サンプリング精度が向上したことにより、NIRSデータから信号処理によりApparent SpO2(みかけの動脈血酸素飽和度)が算出可能となったので、静止画像の視聴時におけるApparent SpO2(みかけの動脈血酸素飽和度)と嗜好の関係性について、新規に調査した。画像観察時から、5秒後から10秒後の間のApp-SpO2の傾きと切片を単回帰分析によって求めた。また各画像に対する傾きに一元配置分散分析を行いチャンネルごとの有意差を求めた。傾きと切片、最大値と最小値とその時刻を特徴量として重回帰分析により画像を分類して精度の検討を行った。一元配置分散分析の結果、ch.7のみに有意差が見られた。disgust画像を観察している時、App-SpO2は上昇傾向が見られ、happiness画像を観察している時、App-SpO2は減少傾向が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
〇多種多様な静止画像(映像)コンテンツを対象とした主観評価実験の実施(脳機能計測と生理的計測)・計測データと官能評価データとのマッピングの検討 前年度に得られた知見を利用して、QoE 分析・評価システムの高精度化・実用化に密接に関わる計測データと官能評価データとのマッピングを検討する。これと併せて、脳機能計測データと生理的計測データとの情報連携方法を検討することで、ユーザ体感品質の分析・評価システムの高精度化・実用化に有用な生理的計測法を精査する。 〇脳機能計測(NIRS)のデータを用いない簡易的な計測データと官能評価データとのマッピングの検討 NIRS や表情筋筋電は人の頭部や顔面に測定端子などを接触して計測する必要があるので、実応用を考えた場合は人に非接触での情報計測が望まれる。そこで、本年度の主観評価実験では、4K高精細TV カメラ映像やサーモグラフィ映像、皮膚血流量、指尖脈波、皮膚電気活動(EDA)など頭部に非接触な状態で得られる情報のみを用いてユーザ体感品質の分析・評価システムが構築可能かの検証とその課題の整理を行う。
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Causes of Carryover |
初年度の経費のうち、物品費で脳血流測定装置を購入したが、残額が国際会議への旅費として使用できなかったので、次年度へ繰り越した。
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