2018 Fiscal Year Research-status Report
脳機能・生理的計測による高精細映像の革新的QoE分析・評価システムの開発
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17K00154
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀田 裕弘 富山大学, 大学院理工学研究部(都市デザイン学), 教授 (80209303)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 画質評価 / 生体情報 / NIRS / QoE / 脈波 / 人の嗜好 |
Outline of Annual Research Achievements |
◎NIRSを用いて快・不快画像観察時の人の快・不快に関連する嗜好の予測を検討した。 〇NIRSから得られる脳血行動態のdOxy-Hbの変化情報には、脈波情報がそのまま含まれていることが明らかとな行ったので、快・不快を感じるような嗜好と脈波との関係性について検討した。前頭前野のCh6, Ch7, Ch8, Ch9, Ch10を解析対象とし、各チャンネルのdOxy-Hbのデータに対し高速フーリエ変換を行うことでパワースペクトルを抽出する。脈波情報のパワースペクトルは1.5[Hz] 周辺の帯域に発生するので、周波数が0.6 - 2.0Hzに現れるピークを脈波情報とする。実験結果より,閉眼時・好きな画像の観察時・嫌いな画像の観察時によって脈波の発生する帯域が異なる傾向にあることが確認できた。これらの識別を行うため、3層ニューラルネットワークを使用する。識別精度については、全72サンプルの識別正解率を算出する。結果、open dataでの精度検証において約50%の精度が得られた。 〇ウェーブレット変換とニューラルネットワークを用いた脳血流からの嗜好の予測を行った。脳血行動態から得られたOxy-Hbデータには計測雑音が多く含まれるので、計測雑音を削減しながら本質的な情報を温存するためにウェーブレット変換を用いた。本研究では Daubechies の 9/7 フィルタを利用する。また、ニューラルネットワークは多層パーセプトロンを利用する。計測したOxy-Hbの値をもとにch5からch12についてニューラルネットワークによる学習を行う。入力データはウェーブレット変換を行った回数に応じて,L,LL,LLL,LLLL の 4 種類を用いて嗜好の予測を行った。open dataにおける学習の結果、中間層のユニット数が入力数の0.5倍で、学習回数 5000 回で高い予測精度が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
◎平成29・30年度の研究計画で実施予定の内容について予定通り実施されており、その成果も見られ、研究成果は関連する国際会議(IEICE IMQA2018)に1件、国内学術研究会(IEICE IMQ研究会)に3件、研究発表を行った。また、継続してNIRSに関する関連研究を推進してきた結果、査読ありの学術論文2件として成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
〇多種多様な静止画像(映像)コンテンツを対象とした主観評価実験の実施(脳機能計測と生理的計測)・計測データと官能評価データとのマッピングの検討 この2年間で得られた知見を利用して、QoE 分析・評価システムの高精度化・実用化に密接に関わる計測データと官能評価データとのマッピングを検討する。生理的計測が簡易的に行なえるセンサも開発されたので、これらを用いて同時測定することで、脳機能計測データと生理的計測データとの情報連携方法を検討し、ユーザ体感品質の分析・評価システムの高精度化・実用化に有用な生理的計測法を精査する。 〇脳機能計測(NIRS)のデータを用いない簡易的な計測データと官能評価データとのマッピングの検討 NIRS や表情筋筋電は人の頭部や顔面に測定端子などを接触して計測する必要があるので、実応用を考えた場合は人に非接触での情報計測が望まれる。そこで、本年度の主観評価実験では、4K高精細TV カメラ映像やサーモグラフィ映像、皮膚血流量、指尖脈波、皮膚電気活動(EDA)など頭部に非接触な状態で得られる情報のみを用いてユーザ体感品質の分析・評価システムが構築可能かの検証とその課題の整理を行う。
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Causes of Carryover |
予算計上している旅費の一部を国際会議への参加を想定した旅費としていたが、予定通り旅費として使用できなかったので、次年度へ繰り越した。
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